山深き渓谷で降り続く雪は
あっという間に辺りを白く染めてゆく
此処にあった道は
空の白さと見分けが付かない色に染まり
歩く者達は
安全を求めて回り道をする
雪が静かに 海に降り注ぎ
音も立てずに白波へ落ちる
そこに吹く風は
厳しい季節の始まりを告げる風
そして
寒い大地から温かさを届ける人の灯火の風
雪の深さを知っているかのように
回り道する人の背中をそっと押して
降り続く雪をモノともしない海を見詰めて
心の灯火は
消えてはならないと決める
(執筆後記)
季節を先取りしてしまってますが…
秋は枯れ葉と共に終わる恋の季節と言いますが、
冬は、そんな秋に失ったモノを再び探そうとする季節のような気がします。
環境だけ見ると冬の方が絶対に厳しいのですが、
冬の街並みを歩く人々からは、それを心の灯火で打ち消して歩んでいるかのように見える事から、
今回の作品を紡いでみました。