昨日の出来事。


彼女に新人の教育を頼んだ。


昨日の新人は16歳で、飲食のバイト経験が少しある。


仕事を覚えるのも、ちょっと早い。


新人の出勤前に、彼女と話をした時に、彼女がしていた話。


『最初は少しキツイぐらいがいい。


 キツイ仕事を経験して、諦めずに辞めなかった子は、

 

 その後、頑張って続けてくれるから。


 辞められちゃ困るからって、最初から大事に育ててダラダラ続けられるのは嫌。


 そんな人とは一緒に働きたくない。


 それで辞めちゃうなら、さっさと止めて貰った方がいい。』



正直、耳が痛かった。


今までの俺は、確かに辞められちゃ困るから、少し甘く接していた事も事実。


彼女は、その話をしていた時、感情が高ぶったのか、


俺の方を見ながら、一気にまくし立てるように言葉を発し、


言い終えた後、しばらく視線を外していた。


その後、少し口数が少なくなった。


彼女は頭がいい。


普段、あんまり感情的になる所を見せようとしない。


精神的に大人なんだと思う。


彼女に言われる前から、彼女の言っていた事は、認識として頭にあったけど、


実際はそれが出来ていないのが現状だった。


俺の事を言われてるように聞こえたから、だから、耳が痛かった。


同時に、俺は別の事を考えていた。


彼女が言葉を発して、その後の少しの沈黙の時に感じたこと。


『悪い事は悪い。ダメなものはダメと、自分の意見をはっきり言える。


 俺は、彼女のそんな所にも惹かれてるんだな』って。


彼女の言葉の中に、彼女の恋愛観というか、気持ちというか、


そういったものを感じた。



おそらく今まで、彼女に彼氏がほとんど出来なかったのは、


容姿とかしぐさとかそういったことが原因じゃない。


気持ちというか、性格なのかもしれない。


多分、付き合う相手にもストレートに言葉をぶつけてしまうんだろうね。


彼女に寄って来る男がいたとしても、彼女と話してるうちに、


強気な性格とか、言葉とか、そういったものに違和感があって、


それで諦めてしまうんだろう。


だから、彼女に対して、本気でアプローチしてくる人がいないのかもしれない。


『言いたい事を言って、それで私から離れていくような相手ならいらない』


『本音できちんと向き合えない彼氏はいらない』


もしかしたら、そんな風にさえ、思ってるかもしれない。



恋は不器用。



他の事は、なんでもテキパキこなす彼女が、唯一苦手なものかもしれない。


でも、俺は違うよ。


そんな彼女の一面を見て、益々好きになった。


彼女のことを、ちゃんと理解してあげられる彼氏になりたいと思った。



たくさん友達はいるだろうけど、


彼女自身の心の奥深くで、彼女を一人ぼっちにはさせたくない。


心から安心できる相手に、俺がなってあげたい。


素直に思った。



彼女の良いところも悪いところも全部まとめて、受け止める。


今はまだ、彼女に伝わらなくても、きっと、いつかは気持ちが伝わると信じて。


『その時』を自分の力で引き寄せられるように、今は頑張るしかない。