「やっぱり早かったかな?」
そんな今更な事を言う彼に被せるように、私は立ち上がって言った。
「よし、分かったわ!
てめえの勝負受けてやろうじゃないの!」
「ええ!?」
何で驚くのよ。
言ったのアンタじゃない。
「いや、全く何も事情を知らないのにいいのかい?
言っておくけど勝負じゃないからね?」
「事情を知らないからこそ目的の兼ね合いが出来るってもんよ!
あ、でもいきなり結婚ってのもあれだからさ、まず恋人からね」
勢いづく私に気圧されつつも、当初の胡散臭さを貼り付けたままの夏目は面白そうに鼻を鳴らした。
「なるほど。
やっぱり君は俺の思っていた通りの人だったよ」
「?」
意味深長なその言葉に違和感を覚えるも、結局分からず初めの勢いそのままに能力を行使する。
思い浮かべるは鏡。
先程夏目に向けた鏡より小さく透明度の増した何物をも映し出す……例え闇の中であろうとも。
雲外鏡。
小さな頃憧れたお婆ちゃんがよく使っていた技で、それは内面から光を放つ世界に2つとない鏡だ。
その中では、1人の少女が世界を夢見てこの中にいる。
「リン」
呼び出すと、浮き上がって来るかのようにその姿を現した。