black board -17ページ目

black board

不定期に小説を書きます

 


そこはベッドが一台と、付き添いの為のパイプ椅子が置かれていた。

置かれているのは、それと隣に飾ってある花の無い花瓶のみで、その他には私物も何もない。

近寄ると、一人の少女が横たわっている。

茶色の髪に、活発そうな顔。

後ろで息を呑む気配がした。

リンを紹介したばかりだけど、何となく分かって貰えただろうか。

目の前に横たわる少女は、リンその人なのだから。

にしても、絶対興奮混じりに追求してくるかと思ったのに、律儀だね。

予想外だよ。

その時、夏目の後ろのドアが開いた。

誰かが入ってくる。

誰かと言っても、入ってくる人は殆どいないからある程度絞られるけどさ。

「お前ら、見舞いに来たのか」

「…………粽?」

入ってきたのは、病院には不釣り合いに見える、粽太一だった。

花瓶に入れるのだろうか、小さな花束を手に持っていた。

「まあ、大したこと出来ないが、ゆっくりしていけ」

「いや、私達はそろそろ帰るよ。
鈴が元気か見に来ただけだから」

夏目に目配せする。

よく分かっていない様子だったが、ゆっくり頷く。

「じゃあ、また明日ね」

「ああ、そうだな」

どこか気まずい雰囲気の中、私たちは病室を出た。