エレベーターを待っている間、私は夏目に尋ねた。
「この世に諦めなくちゃいけないことなんて無いと思う?」
「俺は………あると思う。
どれだけ不可能な事なのか誰にも分からないから」
「そっか。
こんな世界でもそう思う訳?」
「超能力があったとしても、出来ない事ってあると思うよ」
なるほど。
夢を見るけど現実もちゃんと見ているのか。
「それを聞ければいいや。
………太一はね、まだ期待しているの」
「何を?」
「妹である鈴香の意識が戻るのを」
一呼吸置いて、私は一方的に話す。
誰のせいでもない。
単なる事故だった。
だけど、あいつはそうは思っていない。
自分の罪だと思っているんだ。
そんなの、私だって同類なのに。