翌日の学校─────────
ゼヨ「健康観察をしまーす 体調の悪い人ー」
「はーい」
直輝と久美が手をあげた
ゼヨ「どした」
久美「風邪気味です 鼻つまってます」
直輝「右に同じ」
クラスに笑いがおこる
ゼヨ「・・はい 無理しないようにね」
学校が今日も始まった。
いつもと同じ颯汰、奈美、直輝、久美、剣悟で話していると
紗詠が声をかけてきた
紗詠「今度遊ぼうよ」
奈美「あぁいいよ」
直輝「どこで?」
紗詠「うち来て」
久美「あれ、直輝って紗詠と仲良かったっけ?」
紗詠「え」
直輝「あ・・ちょっとね」
紗詠「ちょっとね」
颯汰「何?」
紗詠「え、いや何もないって」
剣悟「そういえば、紗詠ん家ってケーキ屋だよな」
紗詠「そうだよ 新作できたから ご馳走しようかと思って」
久美「おおぉ」
颯汰「いいねぇ」
直輝「待ってました!・・でも何で俺らに?」
久美「うん、いつもほかのメンバーじゃん」
紗詠「え、いやぁ・・き、気分かな」
久美「ふーん」
奈美「・・・何か変だよね」
直輝「え 何が」
奈美「直輝と紗詠が話すのが」
紗詠「そこまで変?」
颯汰「だって小学校も違ければ部活だって違うし」
剣悟「クラスでもそこまで話してなかったしな」
紗詠「・・・そう?」
直輝「別に・・ねぇ」
久美「・・・ふーん」
直輝「その前に・・・話したいことがある」
奈美「・・なによ 改まった顔して」
直輝「俺さ・・・」
紗詠「ん?」
久美「・・・」
直輝「久美と付き合ってる」
一同「ええええええええええええ!!!」
颯汰「・・ずいぶん・・軽く言ったな」
奈美「・・ほんとに!?」
剣悟「・・・」
上がった口がしまらない剣悟。
一同驚きを隠せない。
奈美「・・ほんと?」
久美「ほんと」
紗詠「・・・ほんと?」
久美「ほんと」
剣悟「久美がすきなのか」
直輝「・・あぁ」
颯汰「・・・おぉ」
紗詠「・・・そ、そうなんだ・・・」
紗詠は昨日あったことがどんなことだったのか悟った。
紗詠(だから・・あんなことしてたのか・・)
颯汰「それよりさ、今日居残りやん俺」
紗詠「あ! あたしもだ! やってくるの忘れたぁー」
直輝「俺もだ・・・」
奈美「・・・はぁ やなこと思い出させないでよね」
紗詠「ほんと・・・」
案の定帰りの会後・・・
ゼヨ「あ、忘れるところだった 課題が出てない人居残りな 教室で待っておくように」
ため息がこぼれる
紗詠「はぁ・・・」
颯汰「・・・ハァ」
直輝「すぅー・・・っ はぁー」
奈美「吸うなや」(笑)
剣悟「ゼヨ! 俺できた!」
ゼヨ「よーし剣悟帰ってよし」
剣悟「うっし!」
ガッツポーズ。
直輝「こらぁ 裏切り者めー」
颯汰「ぶーぶー」
剣悟「出さんやつが悪い」
ゼヨ「そのとおりだ はやくやれ」
一同「はーい・・」
だがこのメンバーでは地道に勉強なんてムードが続くわけもなくあっという間に会話の場となってしまった
30分後、ゼヨが教室に戻ってきた
ゼヨ「図書室に移動するから来い」
図書室に行くと、先人がいた
隣のクラスの塩田 眩介(しおた げんすけ)だ。
そこまで勉強はできない。運動もそこそこ。顔もそこそこ。 いたって普通。
直輝「あ、眩介だ」
眩介「あぁ 直輝」
ゼヨ「他の組と合同でやるからな」
奥には眩介のほかに3人ほど女子がいた。
3組の岩槻 夏穂(いわつき なつほ)と、高見 夕子(たかみ ゆうこ)、薪橋 望美(まきはし のぞみ)だ。
3組でも特に結びつきの強い女子3人グループ。 3人そろって居残り中。
ここに来ても会話は止まらなかった。
奈美「そんなわけないでしょー」
直輝「絶対そうだって!」
紗詠「でも・・ありそう」(笑)
颯汰「はぁ・・・」(笑)
直輝「絶対わざとだ」
奈美「ほんとにわざとじゃないって!」(笑)
昨日のイヤホンを片方ずつはめたまま寝てしまったときの話だ。
颯汰「だって俺のほうが先に寝たもん わざと寝るなら奈美だろ」
奈美「もう、、わかったよわかった! わざとですよ!」(笑)
直輝「やぁっぱり」
紗詠「ははは」
奈美「それよりさ、紗詠の恋愛の話聞かないよね」
紗詠「え・・・?」(照)
颯汰「それは確かに」
直輝「うん」
紗詠「えぇ・・・」
颯汰「なんかあるだろ」(笑)
紗詠「んー」
奈美「もったいぶってないでいいなよぉ」
紗詠「んでもさぁ あたし元彼引きずってるからさ・・・」
視線を落とす
奈美「・・・そうなのか」
紗詠「まぁ、そういうことだから」
直輝「で、それは誰?」
颯汰「おい、待て、・・お前は鬼か」(笑)
直輝「あ、さぁーせんしたぁ」
笑いがおこる
颯汰「直輝は久美だもんな」
奈美「そうそう」
直輝「うるせー お前らだってお似合いだぞ」
奈美「それはどうもどうも」
颯汰「あ、でさ、昨日久美が不機嫌だったの何?」
直輝「あぁ・・・んー、頭痛かったんだって」
奈美「そうなの あ、今日風邪気味って言ってたしね」
直輝「そうそう」 (俺と一緒に雨に打たれたからでしょうけどね)
颯汰「そうしてるうちに課題終了ぉぉ!!」
奈美「うわっ 裏切ったな」
颯汰「はっはっはー」
奈美「なーんて言ってるあたしももうとっくに終わってまーす どうだ!」
颯汰「だったら早く行けよ」(笑)
直輝「なんかカップルで漫才やってるぞ」
紗詠「ははは」
奈美「だって颯汰と帰りたかったもん♪」
直輝「出たー」
颯汰「ゼヨんとこ行ってくる」
紗詠「いつもこんな感じ?」
直輝「そうだよ いつもだよ」
紗詠「なんか・・うらやましい」
微笑む。 でもその笑顔には寂しさがまみえた。
奈美「・・紗詠」
紗詠「ん?」
奈美「・・・大丈夫だって!」
肩を叩く
紗詠「痛いっ」(笑)
奈美「紗詠かわいいから、いい男寄ってくるよきっと」
紗詠「うん・・ありがと でも・・あたしはあの人しか考えられなくて」
奈美「こんなかわいい女の子を捨てた男は誰なのォ!」(笑)
紗詠「あぁ・・・振ったのはあたし」
奈美「え・・・」
ドアが開く
颯汰「奈美、まだ?」
奈美「あ、ごめん行く行く じゃね紗詠、直輝」
紗詠「じゃあね」
直輝「じゃあな」
帰り道────
奈美「紗詠さぁ」
颯汰「ん?」
奈美「紗詠・・・自分から振ったのになんで後悔してるんだろ」
颯汰「さぁ 俺人振ったことないから わかんね」
奈美「んー」
颯汰「それより、直輝の話が驚いた」
奈美「あたしは薄々気づいてた」
颯汰「まじ?」
奈美「マジマジ」
颯汰「ほぉ」
奈美「だって仲良かったし あの2人」
颯汰「んー」
奈美「あたしらが寝ちゃったときも2人で来てたしさ」
颯汰「うん・・まぁそう言われれば確かに」
奈美「でしょ? そういえばさ、昨日何があったんだろうね 久美」
颯汰「え、直輝が頭痛かったからって言ってたじゃん」
奈美「なんかうそくさいんだよね 最近の直輝」
颯汰「そう?」
奈美「女のカン」
颯汰「カンか」
奈美「なーんかね 変」
颯汰「変か・・・」
奈美「んー あっち行ってからなにかあったはず」
颯汰「ほぉ たとえば?」
奈美「んー・・・」
腕を組んで考える
奈美「ん~・・・多分いちゃいちゃしてたんじゃないの?」
颯汰「いちゃいちゃって具体的に何?」
奈美「んー ちゅーとか」
颯汰「ちゅ・・・ちゅーか」
奈美「ちゅーだよ」
颯汰「直輝と久美がちゅーねぇ・・・」
奈美「ちゅー・・あたしが颯汰にちゅーしたらどうするよ!?」
颯汰「え、別に今でもしそうじゃん」
奈美「じゃぁしてもいい?」
颯汰「えっ」
2人の足が止まる
奈美「してもいい?」
下から顔をのぞく
颯汰「えっ」
奈美「照れてるんだなぁ」
颯汰「べ、別に」
目をそらす
奈美「目をそらすな」
颯汰「・・・」
奈美「あたしを直視しなさい」
颯汰「・・えっ」
視線が重なる 見つめ合う二人
奈美「・・・」
颯汰「・・・」
奈美「・・・」
颯汰「・・・」
奈美「・・・」
颯汰「・・・」
奈美「かぁ~っ」
颯汰「勝った」
奈美「はぁ」
真っ赤な顔をしている
颯汰「バカだな」(笑)
奈美「まだちゅーしてあげないもんね」
颯汰「なんだそれ」(笑)
奈美「バカッ!」
腕をどつく
颯汰「だからなんだそれ」(笑)
奈美「んもぅ!」
颯汰「なんでやねん」(笑)
これをいちゃつくと言うのだ。
居残り組は
紗詠「残されちゃったね」
直輝「あぁー」
紗詠「どれくらいで終わりそう?」
直輝「んー どうかな 終わりそうにない」(苦笑)
紗詠「頑張って」(苦笑)
直輝「はぁー」
紗詠「ふぅ・・・Sadness・・・」
直輝「え?」
紗詠「悲しみって意味・・・」
直輝「・・さどねす・・・」
紗詠「・・・そう Sadness」
直輝「サドネス・・ハピネス!」
紗詠「そうはいかないけどね・・・」
小声でつぶやいた
直輝「え?」
紗詠「いや、なんでもない・・」
直輝「何か元気ないね」
紗詠「いや・・別に 大丈夫だよ」
なにか重なるものを感じた・・・
久美と・・・・・・
直輝の何かを刺激した。
変に強がるところ。 まわりに迷惑をかけないところ。
久美を思い出した
直輝「・・・っ・・」
紗詠「・・どうかした?」
直輝「い、いや」
紗詠「・・・はぁ 終わらなーい」
直輝「・・・紗詠・・」
紗詠「ん?」
直輝「元彼って誰だ」
紗詠「えっ・・・」
直輝「そんなに悲しくなるなよ」
紗詠「・・いや・・・だって」
直輝「なんで振ったの」
紗詠「当時・・・あの人には・・・もう・・」
だんだん声のトーンが落ちていく
紗詠「・・他に好きな人が・・いたから・・・」
直輝「・・・」
紗詠「それなのに、いつまで経っても何も言ってこない・・・ただ、冷たくなっていったの」
直輝「・・紗詠はどうしたの」
紗詠「・・知ってることは伏せておいて、必死に振り向かせようとしたの」
直輝「・・・そしたら」
紗詠「変わることは・・なかった だから、決心したの」
直輝「紗詠は・・いい女だと思うよ 彼女がいる身で言うのはどうかと自分でも思うけどさ」
紗詠「・・え・・・」
直輝「すぐ・・・幸せになれるって」
紗詠「・・ありがと・直輝・・・・」
笑って見せた。
直輝「・・・はは」
そして黙々と課題をやり始める
紗詠「あ・・・範囲終わってた 89ページまでだよ」
直輝「え・・・俺今103ページ・・・」
紗詠「そこ習ってない範囲じゃないの?」
直輝「だって、答え見てるし」
紗詠「そんなことだろうと思った」(笑)
直輝「じゃ出しにいこ」
紗詠「うん」
午後5時提出完了。
紗詠と直輝が最後だったらしい。
帰り道──
あたりはすっかり暗い。
直輝と紗詠は逆方向なので校門で別れた。
しばらく鼻歌を歌いながら自転車で家へ向かう途中
人通りの少ない裏道で、横から大声で、でも少しかすれた声が聞こえた
「な、直輝!」
驚いた直輝は自転車を止めた。
そこにいたのは・・・なんと剣悟だった。
剣悟「・・・直輝・・・」
左腕を右手で押さえていた
直輝「どうしたんだよ!こんなとこで 転んだか?」
剣悟「バカか・・そこまでドジじゃねぇよ」
直輝「じゃぁ どうしたんだよ」
剣悟「それより・・・久美が危ないかもしれねぇ・・・」
直輝「・・えっ!? 久美が!?」
剣悟「・・青公でな・・・久美が大事だったら行ってやれ・・・」
直輝「でもおまえ、腕・・・」
剣悟「俺は大丈夫だから早く行け!!・・好きなんだろ?」
直輝「・・剣悟・・サンキュ ちょっと行ってくる」
剣悟「・・へへへ それでこそ直輝だぜ・・」
何とか自力で歩きいていった剣悟。
腕を押さえながらよろよろと歩きだす
それを背に自転車で久美のもとへ───────
自転車を飛ばす直輝
青空公園で何が起きているのか・・・
10分後、公園についた。
1人の男が入り口に立っていた。
「遅かったな」
直輝「・・・久美は」
「久美はいねぇよ」
直輝「・・久美はどこだ!!」
「だからいねぇよ」
直輝「・・剣悟をやったのはお前か」
「さぁどうかな」
直輝「・・・覚悟しろよ」
キックボクシングの構えをとる
「ふふふ」
なんと男もキックボクシングの構え・・・
「おまえの話は聞いてるぜ」
直輝「どんな話?」
「キックボクシングの使い手だってな それで星哉のやつ俺を呼んだんだな」
直輝「・・おもしろい」
戦争が────
始まる。