春分の日。
お彼岸も中日なので、お墓参りに行って来た。
枯草を取り、茶碗と花器を洗い、花を供え、線香を手向け、静かに手を合わせる。
不思議と、お墓参りをすると心が鎮まるものだ。
出掛ける前に、花を買いに行った。
花屋さんに行くのかと思いきや、マミーの運転で花農家に着いた。
初めて行ったので、おとなしく車の中で待っていたら、出入口の所に男のコが出てきた。
ピョコンとお辞儀をして、柔らかく微笑んでいるので、あたしもニコニコしながらピョコンとお辞儀をした。
天使の微笑みだな…と思って見ていた。ダウン症のコは、本当にピュアなのだ。
中に入って行って、お父さんのお手伝いをしているらしい。
もう一度出て来て、今度は手を振ってくれた。何度も笑顔で。
あたしもニコニコ全開で、何度も手を振った。
マ:「4月には入学式だね

楽しみだね!」
マミーが車まで戻って来ながら、男のコに声をかけている。
男のコはにこやかに頷いていた。
ア:「中学校?」
マ:「中3だったから、今度、高校だって」
ア:「そうなんだ!素直そうだし、可愛らしいから小学生かと思った」
生き生きとした菊の花を抱えながら、あたしは同級生のTクンのことを思い浮かべていた。
ア:「親御さんの気苦労はたえないだろうけど、素直でホントに心優しく育つんだよね」
なんだかあの笑顔で、あたしの心まで浄化されたような気がした。
お寺さんに着き、本堂の前で手を合わせていると、思わぬことに声が掛かった。
O:「アンちゃん

」
振り返ると、意外な人がニコニコとやって来た。
ア:「O貫サン

久し振り~

お孫さん?」
以前の同僚とでも言うべきか。可愛らしい赤ちゃんを抱いている姿は、すっかり毒気が抜けきっていた。
明日には、あたしから何も言わなくても、O倉サンの所に「アンちゃんと会ったんだ!」と報告メールが届いているに違いない

お寺さんでのお墓参りを済ませ、公園墓地にも行く。
階段がかなりあり、お父やんがへこたれそうだ。
父:「歳とったら、四つん這いで上がるようだな」
ア:「そうだね。途中で3回くらい休んで。なんならお茶飲みながら…あそこで」
簡素な東やを指して言う。
その間にも、墓参の人たちがたくさん来るけれど、みな同じように「上まで登るのは大変だ」と口にする。
父:「うちは、まだ中腹だからいい方か」
アンにとっての問題は、裏手が全て杉山ということだ

花粉をイヤというほどに抱えこんでいる様が見てとれる。
出来る限り、気にとめないようにして、お墓参りに専念。
マスクなんて非力なもので、帰ってからがクシャミ三昧だった。
暖かな一日。
心持ちも穏やかに、のんびりと過ごした。