夫の交際相手ゆうこという女は当時、この辺りの大人気幼稚園、M幼稚園の幼稚園教諭だった。

今もそこにいるのかは知らない。

もしかしたらまだ「いい先生」の「フリ」をして、M幼稚園にいるのではないか。


去年だったか一昨年だったか。

M幼稚園の送迎バスを見かけた時、添乗の先生と思われる人が見えた。

クソ女にそっくりで、目が合った気がした。

しかし相手はすぐに目をそらした。

やっぱりクソ女だったのか……?


さて、夫とクソ女のラブラブラインで、クソ女が勤めるM幼稚園の運動会で、子ども達がやる『パラバルーン』について書いていた。

その返信に夫は、
「“パラバルーン”なんていう競技があるんだ。
知らなかった」
と書いていた。

私は夫を平手打ちした。

「この大バカ野郎!!
お前はこの気持ち悪いラインのやり取りの頃、自分の子どもの“パラバルーン”を、見てんだぞ!!
“初めて知った”???
自分の子どもがやった競技の名前も知らないで、よくお前、私のことをダメ母だの鬼母だの言えたな!!
クソ野郎!!
お前、父親を名乗るのやめろ!
タネだけの父親なんか、要らねーんだよっ!!」

私は何発も平手打ちを食らわした。

そして思い出した。
三番目の子が『パラバルーン』を披露した運動会の日のことを。
夫も運動会を見に行ったのだが、夫はずーっとつまらなさそうにしていた。
三番目と夫のツーショットを撮ろうとした時も、ニコリともしない夫に、私は「パパ。もっと笑ってよ」と言った。

つまらないわけだ。
笑わないわけだ。
あの時夫は絶賛ゆうこに夢中中だったわけだ。
三番目は、ゆうこが勤務するM幼稚園とは別の幼稚園に通っていた。
夫はおそらくあの日、三番目の通う幼稚園の園庭で、
「あー、ここがゆうこちゃんの勤務する幼稚園だったら……。」
「あー、なんで三番目をM幼稚園に入れなかったのだろう……。」
と、そんなことばかり考えていたのだろう。

自分の子どもの競技どころではない。
ゆうこ、ゆうこ、ゆうこ、ゆうこ……。
そりゃ『パラバルーン』なんて競技名、どうでもいいから頭になんか入るわけがない。

私はもう、三番目が頑張った『パラバルーン』を全く覚えていない。
『パラバルーン』と聞くだけで、クソ女の顔が浮かび、バカ夫の笑わなかったツーショットが浮かぶようになってしまったのだ。

いい年こいて欲望丸出しの、アバズレゴキブリ不倫保育士。
あの女さえ夫に近づいて来なければ、楽しかった記憶は楽しいままだったのに。
子どもが頑張っていた運動会の記憶を、返して欲しい。

返せ!!
返せ!!
返せ!!