前回、組織における「パワーの源泉」について紹介しました。今回はこれまでの5回にわたってお伝えしてきた内容を「相手にどう伝えるのか」、人を動かす、影響を与えるコミュニケーション方法についてご紹介していきたいと思います。
コミュニケーション上手い人とは?
皆様の周りに、コミュニケーションがうまい方がいますか?いる場合はその方はどういった特徴を持っていますか?
「コミュニケーション」と一言で言っても、言葉でのコミュニケーションもあれば、非言語の態度でのコミュニケーションもありますよね。また、話し方や内容、その人の話す姿勢も影響します。冷静に話す方もいれば情熱的な方もいます。はたまたその人がもともと持っている「倫理観」も相手には影響すると思います。ということで、この「コミュニケーションという上手い」という言葉でもさまざまな見方ができます。ただし、上手にコミュニケーションを取る方はそれなりに理由もありますので、今日はそういったポイントが抑えられればと思います。
効果的なコミュニケーションの取り方
まず第一にコミュニケーションを取るには、対象となる相手が必要ですよね。効果的にコミュニケーションを取れる方は、まず「相手の情報レベルを正しく把握すること」に長けています。
皆様も仕事の悩みを他者に相談する場合に、自分の家族、友人、会社の同僚、それぞれに同じように悩みを相談しないと思います。相手が理解できる情報レベルに解釈をいれたり、用語の説明をいれたり、より相手に伝わるように無意識に説明を心がけていると思います。これが相手の情報レベル、認知レベルを自分の中で解釈し、相手に伝えている一例とも言えます。
※ここ大事なポイントです
ここで無意識という言葉がでました。そうです、第2回でお伝えしたような無意識のメンタルモデル、そして相手の情報レベルを判断する場合には、システム1の思考になりがちになり、バイアスがかかります。また相手の事をより理解するには、第4回目でご紹介したEmotional Intelligence、感情の知能指数の中にあった、「感情的共感」や「認知的共感」のスキルも必要になりますね。
それはで、相手の情報レベルが把握できたところで、相手に何かを伝える際に必要な要素についてご紹介します。
相手に説得する際に必要な5つの要素があると言われています。
エトス(Ethics)
話し手の倫理観、倫理的であるかどうか。これは第一印象にも近いです。第一印象が良いか、悪いか、それは良い方がいいですよね。清潔感であることや礼儀正しさなど、聞く相手が最初に持ってしまう印象をいいます。著名人であれば、その方の元々のイメージもこれに該当します。
ロゴス(Logical)
話す内容のロジカルさ、論理的かどうかです。論理的に話す方には相手への説得力が向上します。話す内容に一貫性があり、ロジカルに話をすることが大事です。
パトス(Passion)
パッション、情熱的であるかどうかです。相手への共感にも近い部分もあります。人の話を聞く時に「この人の話は情熱的だ」と思った時はこのパトスが強いという事になります。
メタファー
比喩表現です。相手にわかりやすい表現に変えたり、例を例えることで相手への理解を補助します。
簡潔さ
これはその通りで、シンプルに相手へ伝える事、これが相手への理解の手助けにもなりますし、何よりわかりやすい説明になります。
特に大事なのは最初の第一印象でもある、エトス(Ethics)、倫理観です。エトスをベースにロゴス、パトスを展開していくと相手へ伝わる量、質ともに上がっていきます。相手へ説明する時には、認知と感情それぞれに訴えかけることが重要です。認知だけ、感情だけではなく、それぞれを織り交ぜながら伝えていきましょう。
より効果的なコミュニケーションとは?
最後により効果的なコミュニケーションについてご紹介します。相手とのコミュニケーションといっても、コミュニケーションを取る目的があると思います。その目的を達成するために対話が必要であり、それがコミュニケーションとも言えます。対話をする上で、
親密性
心理的な安全性、関係性を事前に構築(ここは特に相手への共感が重要)
相互作用
対話は一方通行ではなく、相互で行う。一方的ではなく意図して相手からも発言してもらう。繰り返す事で親密性にも繋がる
包括性
相手とは対等な立場で話す。上司や先輩に対して言える人は良いのですが、ヒエラルキーが存在すると配慮する量が増加する傾向にあります。
意図性
目的、目標、対話の意図がなんであるかを対話に入れる
いかがでしたでしょうか?
コミュニケーションと言っても、相手を理解し求めたい目標にむけて対話をする、そのためにも関係性が重要です。人に何かを言われて「ムキーっ」となる場合は、大抵の場合が関係性が欠如している場合が多いです。
自分自身のコミュニケーションスタイルや、今後の対話の参考になれば幸いです。
まとめ
Audience Awareness、対象の方の認知レベルを正しく把握する
エトス、パトス、ロゴス、メタファー、簡潔さを使い分ける
心理的安全性、関係性があるかないかで対話は大きく変わる