前回、「正しい課題を設定する難しさ」について紹介させていただきました。

今回は、その課題に対する解決策を考えていきたいと思います。解決策を考えていく中で、アイデアの「発散と収束」、そしてよりよい解決策を進めるためのデザイン思考、アジャイルイノベーションについて紹介いたします。

 

  アイデアの「発散と収束」

みなさまは日々、課題と向き合う中で、どのように解決策を考えていますか?過去の経験則からでしょうか?それとも調べたり、第三者からの意見を聞くこともあると思います。

 

このセッションでは、課題に対する適切な解決策を見つけるためには、多くのアイデアを発散し、収束する事について紹介します。まずはSix Thinking Hutsについてです。

 

Six Thinking Huts

これは、6つのそれぞれ色が異なる帽子をかぶって(実際にかぶるのではなく、あくまで想像ですw)、解決策を考える手法です。それぞれの帽子に意味があり、帽子をかぶっている間は、その話しかできません。

青い帽子(Process)

青い帽子は課題のプロセスに注目します。プロセス上でのもともとのニーズがなんなのか、プロセス一つ一つにズームインしてみることはもちろん、プロセス全体の中で何ができるか、プロセスを時間軸で見た場合に何が解決策としてできるかを考えます。

 

緑の帽子(Creativity)

次は緑色の帽子です。緑色はクリエイティビティです。前提を疑った上での解決策や、大体の解決策がないか、できる可能性の幅を広げることはできないかなどにフォーカスして解決策を見つけます。

 

白い帽子(Facts)

白い帽子は、ファクト、事実から解決策を導きます。今見えている事実、これから見える事実、その事実に対して解決策を考えてみてください。

 

黄色い帽子(Benefits)

次は黄色い帽子でベネフィットです。これは解決策をよりポジティブに、前向きに思考したり、アイデアをより使いやすいものに、解決策として実行しやすくできる事がないかを見つける事ができます。例えば解決策を実行している人に対して、ポイントポイントでベネフィット(何かを与える)があれば、より実行可能性が高まりますね。

 

赤い帽子(Feelings)

赤い帽子はフィーリングです。今自分の感情がどのような状態か、何を感じているか、どういった感情を変えていかなければならないかという点です。解決策は実行する人がいますので、そういった方々の感情も見ていく必要があるという事ですね。

 

黒い帽子(Cautions)

最後が黒い帽子です。黒い帽子は、注意、難しさ、弱み、危険な部分はないか、課題をそもそもネガティブ前提で考え、解決策を導く方法です。解決策を考える場合、どうしても実現可能な情報に目がいき、失敗する可能性を忘れることもあったりします。そういった可能性を低減することにも繋がりますね。

 

以上がSix Thinking Hutsの考え方です。ちなみに解決策を考える場合の帽子の順番はありません。ただし全ての帽子を一度はかぶって解決策を考えてみる事をお勧めします。また考える際にはそれぞれの帽子の「制約」があるおかげで、より深い思考になったり、グループで行う事でさまざまな解決策がでてくると思います。オンライン会議が多い組織であればZoomの背景などをこういった色に変えてしまって解決策を議論するのも効果ですね。

 

このように制約を設ける事で思考を限定して、解決策を出していきましょう!

 

  アジャイルイノベーション(デザイン思考)とは?

続いては、昨今よく耳にする機会が増えてきたデザイン思考についてです。デザイン思考は、一言でいうと顧客中心の改善の思考方法になります。よくある例がiPhoneだと思います。日本の通信事業者は、携帯電話の機能を追加することばかりを考えていました。しかしAppleは、ユーザーが本当に欲しいものはなんのか?を突き詰めた結果、ボタンがいらない携帯電話を生み出し、そして名前を「iPhone」と名付けたのは有名な話ですね。

 

デザイン思考は5つのプロセスに分解されています。

Emphasize 共感する、ユーザーを想像する

対象となるユーザーを設定し、ユーザーが何を求めているのか、感情、心理へ共感する事からデザイン思考は始まります。何を考え、何を解決したいのか、そのインサイトを探り、解決策を見つけていきます。ユーザーの課題設定と言えるフェーズです。

 

Define

続いてはDefine、課題がなんなのかの定義です。共感から把握した課題を、誰に対して、何を、どのように、提供するのかを定義します。定義することで、課題がぶれずに、チームであれば同じ方向を向いて取り組めるようになります。

 

Idea

アイデアです。アイデアはその名の通り、解決策のアイデアを発散的に考えます。ここではあまり「制約」をかけずに、質よりも量、そして解決策の幅を複数個検討することをお勧めします。それが次のプロセスへつながるからです。

 

Prottype

続いてはプロトタイプです。ユーザーニーズが日々変化する状況下では、完璧な完成品である必要性はありません。ある程度の物がを創る事ができれば、プロトタイプとしてユーザーへ提供していきましょう。

 

Test

最期がテストです。これまでの4つのプロセスの集大成としてテストを実施します。直接ユーザーの反応を聞いたり、Feedbackを求めるフェーズとお考えください。短期間で実施し、変数を特定して、この改善サイクルを高速にまわしていくイメージです。

 

非常に簡単にですが、デザイン思考、アジャイルイノベーションを紹介させていただきました。特にアイデアからプロトタイプ、テストのフェーズでは、時間軸を短くもち高速に回転し続けながら、解決策を見つけてく事をお勧めします。顧客要望が日々変化する中ではそういったプロセスを行う事で最終的にはよりよい、製品、サービスに繋がっていくからです。

 

  イノベーティブな組織とは?

今回は解決策を考える上で大事な事を紹介してきました。しかしながら、こういった解決策は1人で考えつくのでしょうか?

そこにはチームがある事がほとんどだと思います。チームで考えていく、解決策をイノベーティブに考えられる組織とは?どんな組織状態でしょうか?

 

●失敗が賞賛される組織

●なんでも言い合える組織

●心理的安全性、関係性が担保されてる組織

●目的意識がしっかりとある組織

●個人のパフォーマンスが最大化される組織

●カリスマ性のあるリーダーがいる組織

●前向きな組織

 

おそらくどれも正解であり、不確実性が高い昨今の状況下においては、答えがないという事をご理解ください。どんな課題なのか、その課題はどういった要素が関係しているのか、よりよい解決策は何か?そのためにどういったチームがよいのか?こういった問いを続ける事が、さらによいチームになるきっかけになると私は信じています。

 

  まとめ

 

 アイデアを発散的に考える、そういったツールを利用する

 

 反復するプロセスを実施し、解決策の精度を高める

 

 解決策はアジャイルのプロセスで実施し、変数を特定し改善する

 

 チームとしてイノベーティブな組織文化を醸成していく

 

次回はいよいよこのセッション最後の、「意思決定」について、ご紹介します!