真っ黒な影のような人が、街のそこここで、自転車にまたがったまま、白い日の当たる建物の壁面にぐったりともたれかかっている。壁から盛り上がった影のような、Uber Eatsの配達員である。どの人もうつむいて顔が見えず、疲れ果てて休んでいるのかとも思われるが、煙草を吸っている者、スマートフォンで配達先の道順を調べているらしい者もいる。
黒服のUber Eatsぐったりとひなたの壁に寄りかかりをり
それを横目に見ながら自転車を漕いで和田堀公園まで行く。人出が多く、マスクをしている人が目立つこと以外は普段と何もかわらない。一面に薄緑色の寒天を張ったように見える善福寺川の水面を眺めていると、悪疫の流行という現実がうそのように感じられる。
夕方から私とSさん、それに初対面の長身・白髪の男性と出張。山間のバスターミナルでバスに乗り、山を登ろうとしているのだが、出発前に売店でペットボトルの飲料を買おうとして私が手間取った。日が暮れて、真っ黒い山影が空を覆う。私が買い求めた飲料のキャップには青い五芒星のマークがプリントされていた。バスに乗り込もうとして私の前に並んでいるSさんの後ろ髪にも同じ青の五芒星の髪飾りが光っていた。
くらがりでバス待つおまえの後ろ髪星の形の髪飾りあり