先日20日のことなんですけど、中野ブロードウェイの墓場の画廊で絶賛開催されていた赤いあいつ展~Exhibition Of REDMAN~に行ってまいりました。
ここでは円谷プロダクションいちばんの人気ヒーロー・・・そうです、“赤いあいつ”ことレッドマンの展示会がおこなわれていたのです。よく見ると奥のほうにはキン肉マンのグッズも置かれていたとはいえ、とくに他のキャラとのセット売りというような謳い文句はありません。つまり、これはもうレッドマン単独のイベントといっていいものでした。
しかも入場だけなら無料。こうなると立ち寄らないわけにはいきませんよね。「あいつのためだけに足を運んだ」という、黒歴史ならぬ“赤歴史”を我が人生に刻んできたということです。
円谷プロが誇る最凶戦士=レッドマンが活躍するこの作品。あまりにも有名なので説明は不要だとは思いますが、それでも「よく知らない」という人もいるかもしれませんので、あえて簡単な説明だけしときます。
『レッドマン』は1970年代、深夜の31時台に放送されていた『おはよう!こどもショー』というR指定番組のなかに設けられた5分枠のコーナーで、その当時の国民は毎日楽しむことができた名作なのだそうだ。
まず、この作品にはドラマがない。ふつうヒーロー番組というのは怪獣、怪人、侵略者、犯罪者などが人類ならびに一般市民にとって脅威となるから退治しなければ・・・といった大義名分があってバトルが始まるのでありますが、この『レッドマン』の世界観のなかではそういった過程がいっさい描かれていない。とりあえず「怪獣は悪いやつに決まっている」が前提で進行していくのが大きな特徴なんであります。
また、レッドマンの餌食(!)となるのは『ウルトラマン』『ウルトラセブン』などに登場したスター怪獣たちなのでありますが、なぜかまったく豪華さを感じさせない奥ゆかしさ。そのスター怪獣たちと互角・・・というか、だいたい圧勝してしまうことが多いほどの戦闘力を誇るレッドマンは当然、巨大ヒーローなんでありますが、等身大ヒーローにしか見えないのはきっと気のせいなのでそこはスルーしてください。
そしてファイトスタイルがより生々しいのが特筆すべきところ。様式美といいますか、通常の「魅せることありき」な殺陣の要素は少々弱く、無駄に痛みが伝わってくるようなアクションなんであります。予算の都合で安易に派手な光線技に頼ろうとしないあいつの闘い方は、肉弾戦で取っ組み合うのが基本。そこには好感が持てる。が、いつも武器を出すのはレッドマンのほうだ。だがこれも、おそらく「闘いは先手必勝である」という彼の哲学を忠実に実践しているまでのことなのだろう。闘いとは、かくも厳しいものなのだ。
チャンネルNECOで放送された、第1~6話
虐殺シーン10選(※『火曜サスペンス劇場』のBGMは後づけされたものです)
レッドマン 残虐シーンベスト10 投稿者 kei_aso
個人的に最も好きなのは、既に動かぬものとなった怪獣へレッドアローを突き刺すのシーン(通称「レッドチェック」)。「あれ、コレどこかで見たぞ?」と思ったよ。
すぐに思い出しました。あの映画『二百三高地』にて、戦地で日本兵が壊滅状態となったなか、ロシア兵が無数に倒れている遺体と思しきものを一体ずつ突き刺してまわる場面ですね。あれと一緒なんです。
たぶんスタッフのなかに戦地へ行った経験のある方がいたんだろうと思います。
当ブログでは何度か登場されたこともある、円谷プロの秋廣泰生さんによるレッドマン解説
リンク先をご覧になればおわかりのように、赤いあいつ展ではレッドマンの特製グッズが販売されていました。ですが希少価値があるためか全般的に高額で、金欠の私には残念ながら購入するまでには至らなくて申しわけなかったのですが、内心では欲しいものもありました。
会場スペースでは作品上映もされていました。すると、おそらくレッドマン初体験かと思われる男女が立ち寄りました。映像を見てケラケラ笑っています。足場の悪い場所でのロケに、あいつや怪獣が勝手にコケる(攻撃を受けたからではなく)ところが面白いらしい。
あと「1カットがやたら長い」という指摘も。そう、そこを面白がるのも正しい楽しみ方でありましょう。ひとつの場面で多角的な見方ができるのも、こういう作品の素晴らしいところなのです。
仁王立ちする赤い通り魔
くる! あいつがくる!
ガツン、ガツン・・・!
ときには劣勢になることも
マウントポジションからの凶器攻撃も雄々しき我らがレッドマン!
動けぬ相手にも容赦なし
数多く存在するヒーロー界にあって“赤い通り魔”の称号を欲しいままにするあいつ。昨日もある場所で、元業界人でそっちの知識にも詳しいKさんと、あいつのことをあまり知らない人たちを含めてあいつのことを語ってきたんですが。
やっぱり、あいつの話をすると誰もが笑顔になるというのが結論です。真面目に闘ってて人を笑顔にできるヒーローでいえば、間違いなくあいつがボスです。
聞くところによると、チビッコをリサーチし、彼らが好む要素だけを凝縮して作ってみたらこうなった――な作品なんだそうだ。
この「こうなった」というのがミソでして、狙って「こうした」ではダメなのだ。その意味で、とくに近年では作ろうと思っても作れない、非常に有難い映像であるといえます。
虫の息となった怪獣を引きずりまわしたはて、谷底へ投げ落とす必殺・レッドフォール!
レッドマンの楽しさを知ってる人生と知らない人生では、その幸福度に雲泥の差が出ます。
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