└(՞ةڼ◔)」顔が見える踏切で •ू(༎ຶ༎ຶ`•ू)

　ときどきお会いする女性＝Aさんが、いわゆる「見える人」だということがわかった。

　心霊現象の有無につきましては、私は「ある」と証明することができないし「ない」と証明することもできない。よって基本的には「わからない」という中立的なポジションなのであります。
　ただ、小泉八雲さんの本を読んだり稲川淳二さんの話を聞いたりするのは好きなほうでして･･･でも、その程度なんです。詳しい知識もありません。

　Aさんが「見える人」だとおしえてくれたのはBさん。すぐ近くにある踏切にも、我々の目には見えない人の存在が、Aさんには見えるらしいと。椅子に腰をかけていたBさんは、引き攣ったような笑いを浮かべながら答えた。

「あっちの踏切(約150mほどむこう)には4人いるらしいよ。で、そこの踏切にも4人いるんだって」
　いいことを聞いた！　私は勇んでAさんのところへ急いだ。そのときAさんは、ちょうどその踏切のところに立っている。

　中野区某所の踏切。閑静な住宅街。夜だったがライトに照らされ、そこは眩しいくらいに明るい。

「見えるんですか？」
「え、はい･･･」
「わしも見たいです！　ど、どこにいます？　 (ﾟ◇ﾟ=) (=ﾟ◇ﾟ) 」
「そことそことそこと･･･」
「なんも見えん。どんな人ですか？」
「男の人と男の人と･･･」
「そこで何してるんですか？」
「ウウッって、うなってる」
「おなか痛いの？　会話することはできます？」
「話したくないです･･･」

　私が不躾に訊いてしまったからか、Aさんはあまり話したがらない。いまにして思えばこちらにデリカシーが欠けていたと反省しているが、このときの私は好奇心のほうが優っていたのである。なにしろ、そういう人と遭遇するのは初めてでしたから。ついテンションが上がってしまったのだ。しかも、それまでフツーに話をしてた人がそうだったのですから。
　ただの遊び人だと思ってた金さんが、偉いお奉行さまだと知ったときのような心持ちだったのです(ん、この例えは適切か？)。

「その人たち、ずっとそこにいるんですか？」
「さあ･･･自分が亡くなってることに気づいてないみたいで」
「おしえてあげては？」
「会話したくない･･･」

　Aさんのご機嫌がよろしくないのでこの日はそれまで。ここからは共通の知人にあたるCさんから聞いた、Aさんにまつわるエピソードを書きます。

「あの踏切ね、北側か南側だかはわからないけど、電車が来るたびに突っ込んでいく人がいるんだって」

　どうやらCさんもAさんの能力を疑ってはいないらしい。と言うのも、ここに至るまでに他の人から聞いた話でいくつも頷けるエピソードがあったそうなのだ。

「●●駅にも怖くて行けないんだとか。見えるから」

　ああ、●●駅で悲惨な自殺があったのは私も聞いてる。
「でもいちばん怖かったのは新宿(駅の某所)らしいよ。▲▲▲の突き当たりにある小扉のなかに･･･そのポイントは自殺の名所だったんだって。DさんとEさんが面白がって携帯(カメラ付き電話)で写真撮ったら、いっぱい顔が写ってたって。それでDさんは貧血になるしEさんは痔になるし･･･　 (՞ټ՞(՞ةڼ◔) ༽΄◞ิ౪◟ิ‵༼ ༼;´༎ຶ ۝ ༎ຶ ༽ 」

　うお、そりゃ大変じゃ！
　Eさんならたまに会うので、こんど訊いてみなくちゃ。イボ痔なのか切れ痔なのか。

　Aさんとはまたそのうち会う機会もあると思いますので、そのときはあらためて新しい情報を伺えればと思います。だけど踏切や線路だったらどこにでもそういうのがいそうで、いちいち見えてたらしんどいだろうな。
　先ほど私は「心霊現象の有無につきましては中立的」だと書きました。ただし私は夜中のひとり歩きも苦にならないし、野宿した場所が、夜が明けたら墓地の真ん前だったことがあってもなんとも思わないタイプでして･･･仮に霊の人がいるんだとしたら、まったく怖がらない私のような者は、いささか失礼なヤツなのかもしれません。
　ですが、この場合は「ある」のを前提で臨むつもりです。