1973年12月に『一枚の楽譜』がリリースされた。この曲では作詞がお馴染みの山上路夫であったが作曲は村井邦彦が担当する。
が、なんとこれはガロにしては珍しく小ヒットに終わってしまった。これを機に、ガロのレコードセールスは急ブレーキがかかってしまう・・・。
ボーカルがリードボーカルを務めているが、あらためて彼の声は他の2人と比べてずいぶん違うカラーであることを思い知る(笑)。
-すりきれたレコードだけが悲しみ廻してる・・・♪-
いかにも松本隆の世界、というような歌詞であった。ちなみに「もう聞かない」になるのはビートルズよりもずうとるびのほうが比率的には高いと思うよ、たぶん。
その後もさまざまな工夫を試みるが惨敗を繰り返し、ついに歯止めをかけられないまま完全失速。1976年1月、シングル『さいごの手紙』が最後のレコードとなる。凄まじい人気を誇ったガロであったが、末路は淋しいもので、その姿は悲惨さを通り越して無残ですらあったという。
同年3月、東京・神田共立講堂の解散コンサートにてガロの歴史はその幕を閉じた――。
1975年12月25日に発売されたガロのラストアルバムのタイトルは『三叉路』というものだった。
ボーカルの発案だったそうだが、3人のこれからの旅路を表すという意味で秀逸なタイトリングだったと思う。これはCSN&Yの『4 Way Street』を意識してつけられたものだったらしい。
このように、爆発的なヒット曲とともに商業的成功をおさめ、世間からは勝ち組に見えていたであろうガロ。しかし実際には彼らの本意としない音楽活動に苦しむ期間のほうが大半を占めていたと思われ・・・。
動画のは『一本の煙草』のB面に収録されたシングルバージョンなのだが、さらに数章が追加され7分以上にもおよぶロングバージョンも存在する。
歌詞に「~なやつ」というようなフレーズが多用されているが、そのせいで後に嘉門達夫が歌うことになる『アホが見るブタのケツ』がアンサーソングに聞こえてしまうのは私だけだろうか?
その後3人はそれぞれで活動していたが、1986年9月、トミーが自宅近くのマンションから転落死した。自殺と報道されたが事故死の可能性もあり、現在も詳細は不明とのこと。これは全盛時のガロを知らない私にとっても残念な出来事だった。これでガロはいよいよ幻想のままで終わってしまうと思ったからだ。
いっぽうマークはテニススクールを開業。順調に運営していた時期もあったが、その後ふたたび音楽活動を再開。近年発売されたCDでは衰えぬアコースティックなサウンドで往年のファンを、そしてガロを知らない世代までをも大いに魅了したものである。TBS『爆報!THEフライデー』にも出演(このときの放送は録画していたのだが、レコーダーの修理に出したらHDDの中身をすべて消去されて戻ってきた)し健在ぶりをアピール。私なんぞは日高美子さんらとのライブがあるとの告知を見て、一時は是非行ってみたいとも思っていたほどであった。ですが、このときにはもう・・・。
結局、マークの参戦は叶わず。2014年12月、胃がんのためお亡くなりに。いまとなってはボーカルのみが当事者である。さいわいにしてボーカルだけは音楽活動を続けているとのことだ。
商業的な成功と引き換えにフォーク界から追放されてしまったガロ。たぶん人気絶頂時の姿を知るバリバリのフォーク派からは、彼らの急激な衰退を見ても同情する気になれないと思う者も多くいたのではなかろうか。
しかし、よく聴いてみてほしい。ギターテクニックにしろコーラスワークにしろ、ガロの実力はまぎれもなくホンモノだと思うのだ。よくあるヴィジュアルだけで中身の伴わないバンドと同列に見ていた向きもあったのかもしれないが、その本質は超実力派フォークグループであったのだ。また、彼らとて本音を言えばアイドルのような仕事をしたかったわけではないであろう。しかも活動後期にも人気の衰えとは裏腹に、その実力ぶりはなおも発展をとげようとしていた。
誰かが彼らの音楽を「水彩画のような音楽」だと言っていたが、たしかにその表現は適切のように感じられる。
願わくば、少々タイプが違うとはいえガロの影響を強く受けていると思われる後輩=THE ALFEEあたりに、彼らの精神を長く受け継いでいってもらいたいと思う次第なんである。
【関連記事】ガロは「ホンモノ」
そういえば思い出しましたよ。当ブログ内で「そんなに陽のあたらない名曲」というテーマタイトルをつけたのは、いつかガロの記事を書くときのためを想定して考え出したのを。
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『さいごの手紙』 <作詞:堀内護/作曲:堀内護>
ガロ/さいごの手紙 投稿者 colocolococolo
ラストシングル。物悲しい空気に追い打ちをかけるかのごとく、歌詞のなかで病弱な(?)人物が登場するくだりに失礼ながら笑ってしまった。
しかし日高美子さんのブログによれば、これはマークさんの実体験をもとにされており、「ガロ時代に恋人がいたが熱烈なファンの女の子に押されるかたちで泣く泣く前の恋人と別れ、申しわけなさいっぱいでこの楽曲を作られた」とのことでした。
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――そんなわけで、ガロの印象が『学生街の喫茶店』しかない、という人が圧倒的に多いというのは非常に残念なことでありまして。この記事を見て「おっ、ガロってこんなのもできるの?」と新鮮に感じてくださる方がおられたなら、私としても「そんなに陽のあたらない名曲」を書く者としての役割りが果たせたかなぁなんて思えるのであります。
ガロは懐メロではないです。
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