先月上旬のことです。俳優の上野山功一さんから手紙が届きました。
 お仲間の俳優さん方との親睦会参加のため、10月23日に福島から上京されるとのこと。上京される日の晩には宿泊先のホテルで歓談会を開かれるそうでして、私にも招待状をくださったというわけです。
 上野山さんにお呼ばれされるのは'09年8月、そして昨年6月を経て今回で3回目。もう前回で終わりかもしれないと思っていただけに、今年も開催し、それにご招待いただけたのには感謝感激なんであります!ニコニコ

 上野山さんは'58年に日活映画『昼下がりの暴力』でデビューし、'66年からは大映京都へ移籍して『眠狂四郎 炎情剣』『大魔神怒る』などに出演。その後も刑事モノ、時代劇、特撮・・・と、さまざまな映画やテレビドラマで、主に悪役(鈴木清順監督から悪役としての素質を見出されたらしい)として活躍されておられる大ベテランの俳優さんです。


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 私が上野山さんと遭遇したのは、例の伴さん会でのこと。『イナズマンF』におけるICPO秘密捜査官・荒井誠役として伴大介さんと共演されたときのご縁で、伴さん会にゲストでお越しになったのがきっかけでした。あとでお礼のつもりでメールしてみたところ、ご丁寧にもお返事をくださったことでやりとりが始まったものです。
 いつだったか、お知り合いである快楽亭ブラックさんの寄席にもお誘いいただいたことがありました。そこでは、さらにお知り合いの唐沢俊一さんまでが落語を披露するという場面にも遭遇しました。
 場所は浅草の木馬亭。かなり歴史の古そうな造りの場所で、なんと楽屋にも入れていただき、唐沢さんらとの業界的な会話にも交ぜてくださったりしたものです。
 また以前にもアメンバー限定記事で書いたことがありますが、'08年3月には『超神ビビューン』でダイマ博士を演じられた際に共演された、荒木しげるさんをご紹介いただいたことがありました。
 そういえば荒木さんが生前、ご自身のブログで最後に更新した記事には、木馬亭での出演を告知するものが綴られていました。記事は、いまもそのままの状態で残っています。


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 このように上野山さんは、役どころでは悪役になることが多いのですが、サービス精神が旺盛で、とても親切な方なんであります。それに、お店を経営されてるだけあって、ジョークを交えた会話が上手い。もうすぐ80歳になられるというのにブログを書き(※注:設定上ではペットの猫“殿様”が書いてることになっている)、流行りの言葉も使われます。時代の変化に対応できる方なんですね。だから、いつまでも若々しい。こういう人は強いですよ。私も大いに見習いたいと思わせてくださる方です。
 なお『眠狂四郎 炎情剣』のポスターにはヒロイン・檜垣ぬい役として嵯峨三智子さんが写っていますが、実際に出演したのは中村玉緒さん。これは諸事情により急遽、配役が変わったのだそうですが、ポスターの差し替えには間に合わなかったからだとか。ちなみに上野山さんは、あの有名な円月殺法に斬られるという大役を果たされています(笑)。


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 先ほど「今回で3回目」と書きましたが、この歓談会はメチャメチャ楽しいんです。参加者のなかには脚本家で有名な石森史郎さんがいらしてたこともありますし、今回は東映動画の社長さん、作詞・作曲家の先生、故・広川太一郎さんのお弟子さん、上野山さんが中野で「かちんこ」というお店をされていたときのお客さん、上野山さんの同級生・・・等など、さまざまな業界の、おそらく平凡な生活をしていたら会えないであろう方々が集まり談笑できるというものなのですよ。しかも、上は80前後と思われる高齢層。下は・・・前回は12歳の女の子もいるという年齢幅の広さ。何があっても行かないわけにはいきません。
 場所はいつもの新宿ヒルトンホテル。ところが当日は天候が荒れ模様でして、乗っていた電車が何度も止まってしまう。しまいには途中のK駅で完全に運行をストップしてしまう始末。それでも目的地へはたどり着けましたが、かなり焦りましたよ。


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 ホテルへ入ると1Fロビーで既に顔見知りが数名。まず、つい2日前の昭和のヒーロー! 南城竜也×伴大介×速水亮 トークショー!!にも来ていたY氏に声をかけられ、3年前にここでお会いした鎌倉在住ぼよんばさんご夫妻とそのお仲間を発見。このへんは何れも特撮好きの面々。
 本来の待ち合わせ場所である2Fエレベーター前まで行くと、前回お越しだった阿佐ヶ谷の整骨院の先生が。この先生とぼよんばさんはmixiを通じて知り合ったそうなのですが、ぼよんばさんが前回は体調不良で欠席されたことで会うことは叶わず。あのとき先生はずいぶんと残念そうな顔をされてたのですが、この日、やっと対面することができたのでした・・・というか、いままで会ってなかったのね。ショック!
 と、そこへ上野山さんがお出迎え。既に会は始まってて、もう他の来客はお楽しみ中らしい。ただ、手違いで昨年より二回り小さな部屋になってしまったそうだ。しかも前回の来場者数が30人ちょっとだったのに対し、今回は40名を超す予定とのこと。実際、お部屋へ入ってみましたら・・・ウン、たしかにスシ詰め状態でした(笑)。そのうえ元小結の三杉里公似さんもいらっしゃったので、見た目的にもパンパン(笑)。
 上野山さんはそのことを申しわけなさそうにされてました。でも大丈夫です。そういうのも楽しんじゃいますので。


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 部屋には上野山さんを慕う大勢の人びと。用意された料理やさまざまな種類のお酒もありましたが、出席者みんなで持ち寄ったおつまみ等もありますので普段は口にすることもない珍しいものを楽しく賞味することもできました。ビール
 とくに何をするというわけでもありませんが、ほぼ立食形式で各々が自由に歓談します。そして、いつも話題になるのですが、たぶん'80年代くらいに“上野山功一とザ・ハーレム”としてリリースしたものと思われる『夜の虫』という貴重なレコードのジャケットを拝見。この曲はもともと競作だったようですが、後にみのもんたさんがカヴァーしたものが有名になったのだそうです。
 で、この日はザ・ハーレムの一員だったという女性が応援に駆けつけておられる。いや、この日だけでなく歓談会のときはレギュラーだ。なんでも、中野に「かちんこ」があったときはお店のスタッフとして勤務されていたんだとか。


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 余談ですが先日、某所で御法川(みのりかわ)さんという方と遭遇した。みのさんの本名と同じ名字なので、もしやと思い訊いてみたら案の定、みのさんは叔父さんにあたるのだそうだ。でも『夜の虫』は知らないらしい。

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 閑話休題。部屋では、熱心なファンの方が作ったという『イナズマン』のコアな同人誌(?)を見せてもらいました。作った方はお亡くなりになったそうですが、そのご遺族の方が出席されていらっしゃった。

 少し遅れて宮古湾氏が到着。もうひとり既に来ていた女性もいましたので、私とY氏を入れたら2日前のトークショー後に居酒屋へ行った5人のうち4人(1名を除き伴さん会常連メンバーでもある。ぼよんばさんも伴さん会参加経験者であり、この一同で上野山さんのお店がある福島まで行かれたこともあるのです)が揃ったことになる。
 さらにムトウユージ監督が、またまた登場。この歓談会へはムトウ監督は初参加かな。今回のムトウ監督は、上野山さんが『仮面ライダー』でアンチショッカー同盟・小暮精一郎を演じたときのものに因んだアイテムを持参。上野山さんにサインを入れてもらうんだという。やっぱり面白い人だ、ムトウ監督は。
 ムトウ監督とはまたクレヨンしんちゃんと仮面ライダーフォーゼがコラボしたときの話になり、私が「実写モノの監督もやってみたくなったんじゃないですか?」と伺ったところ、思ったとおり「うん、面白いと思った」とのことでした。


 さて、この歓談会にはさらにスペシャルな方もお越しです。『仮面ライダースーパー1』主演の高杉俊介さんです。
 高杉さんとは数年前、平山亨さんとともに福島の上野山さんのお店へ伺われてからのおつき合いだそうで、高杉さんは上野山さんが上京されるたびに駆けつけてこられます。もちろん歓談会の際も毎回いらっしゃいます。'09年の夏には特撮のわかる参加者が私やぼよんばさんらの4人くらいしかいなかったので、高杉さんとは2時間ほどずーっとお話させていただいたものでした。
 この日の高杉さんは大サービスのパフォーマンスをご披露くださいました。これには参加者一同、大盛り上がり。年配の方々までも笑顔で楽しんでおられたご様子でした。
 個人的には前日、高杉さんが軍事トレーナーとして指導されたり、レンジャー役、さらには高倉健さんの影武者として活躍されたという『野性の証明』を観ていたので、その話を少々。高杉さんは陸上自衛隊レンジャーの出身で、しかも草や虫を食べてでも生き残り敵を壊滅せんとする戦闘のスペシャリスト集団グリーンベレーの経験者でもあります。当時はそれを活かし、この映画では出演者を本物同等の軍人にするべく数ヵ月もの特訓で鍛えるプロジェクトにも参加されたらしい。
 このとき、高倉健さんも特訓に参加させてほしいと自ら志願し、特別扱いされることを拒んだのだそうです。それで高杉さんは高倉さんをリスペクトするようになったのだとか。
 このたび拝見した『野性の証明』なのですが、その只事ならぬアクションの凄まじさ(飢えで自分の腕の肉をナイフでほじって食べてる描写も!)に「うわ、これは並大抵の覚悟で作った映画じゃないぞ! ヽ((◎д◎ ))ゝ」と感じてはおりましたが・・・そうだったのですか。おそれいりました。やっぱり、あの当時の角川映画は素晴らしい。
 なおEDクレジットには、2日前のトークショーでお会いしたばかりだった南城竜也さんのお名前もありました。ありゃ~、先に観といたら南城さんにも映画の話を伺えたのに・・・!しょぼん


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 上野山さんは常に接客をされていたので私はそれほど多くは会話できませんでしたが、それでも、上野山さんの出演作『兵隊やくざ』シリーズ(上野山さんは、そのうち2本に登場)を楽しんでる途中であることを報告。上野山さんも、主演の勝新太郎さんが最も脂が乗っている時期の作品であったことや、その上官役である田村高廣さんとの息が絶妙であったことなどを振り返っておられた。
 また、現在のお店“飲み食い処 つぅきゃっと”の名前の由来になったという奥さまのツネコさん(すいません、字がわからない)とも会話。やはり接客に慣れてらっしゃるためか、ウィットにとんだトークでらっしゃる。なお、店名の経緯は「ツネコ」→「ツー猫」→「つぅきゃっと」というものだったらしい。


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 そうそう、いつも上野山さんは出演作のDVDをプレゼントしてくださるんです。この日は『ザ・ガードマン』と『キイハンター』が収録されてるものを頂きました。楽しみだ。時間があるとき観てみよう。
 ・・・やっぱり悪役なのかな(笑)?


『素浪人 天下太平』より 近衛十四郎さんに斬られる上野山さん


 ――そんなかんじで、上野山さんの歓談会は楽しくて仕方なかったわけですが、つぅきゃっとには私もいつか行かなければなりません。実際に行ってみた人には、かなり好評ですしね。
 お近くにお住まいの方や上野山さんに興味のある方は、ぜひ行ってみてください。


カチンコ上野山功一さんオフィシャルサイト⇒福島のコーモンチャマ