一年前。

 

専門学校の卒業式も終わり、

実家に帰った。

それからは突然入院した祖父へのお見舞いの日々。

 

一日、また一日と力を無くしてゆく大切な人を看ながら、

だんだんと温度をまとっていく春という季節を恨んだ。

 

想像もつかないくらいの喪失感が

やがて確実に訪れる。

いつまでそばに 居られるのだろう。

 

その不安と、人生初めての「就職」 への不安と。

 


すべてが入り混じり、投げ出したかった。

 

 

 

そして一年後、…現在。

 

職場の人たちと笑い会える自分がいた。

「がんばれよ」と祖父がくれた握手を、いつも思い出していた。

  

相変わらず一人で居ると憂鬱と戦ってばかり。そこは変わらない。

 

でもひとは、前に進める。

 

昨日より今日のほうが憂鬱でも、

去年より今年進めていられたらいい。

 

すこしでも 大きくなれていたらいいな。