カラスのが~こちゃん | 無問題~Im a japanese famous woman~

無問題~Im a japanese famous woman~

大雑把で面倒くさがり、中年女子の備忘録。
2匹の息子と、犬・猫に囲まれ、日々、何かと1人で戦っている。
兎にも角にも、動物が大好きで、動物を探しに近所をうろうろ徘徊中。

これまた、心優しい長男とのエピソードスター

それは中国の武漢より、

未知なる感染症が流行し始めた頃のお話です。

 

その当時の長男は、

習い事でタイトなスケジュールを

毎日、毎日こなしていた。

市町村をまたぎ、

走り回っていた。

アイドルなみのスケジュールだ。

母はマネージャー兼運転手として

長男と行動を共にすることが多かった。

 

そんなある日、

運転手の母は、路上に一羽の小さなカラスさんが

落ちているのを発見する。

頭上にはお母さんカラスが騒いでいる。

 

長男と私の目が合った目

「これは巣立ちに失敗したカラスだぞ。

どうする、長男よ。」

言葉はなくとも

目でそのよう訴えかけた。

 

長男はというと

「勿論、助けるだろ?母さん。」

昔の海外ドラマのような、わざとらしいセリフを

しかも、棒読みで

目で返えして来たのだ。

 

「よしびっくりマーク

信号で一旦止まり、

予定していない交差点を曲がる。

車を路駐し

いざ、われらのミッションへ…

 

まずはカラスさんの安全と自身の安全のために、

車にあった、除雪用の黄色のバカでかい手袋を装着。

身柄確保後のは紙袋へと、

これまた車に保管されていた、

百貨店の紙袋を準備。

普段より、災害などの有事を意識して、

色々とくだらないガラクタを

車に積んで歩いている。

夫にバカにされながら

持ち歩いている。

大変役に立ったではないか。

 

状況からは明らかに

「鳥インフルエンザ」

ではない。

そこは慎重に。

マスクを着用し

戦国時代のほら貝の音とともに

母、いざ出陣びっくりマーク

 

頭上には騒ぐお母さんカラスがいる。

襲われることも覚悟した。

 

車は路駐している。

時間はそんなにない。

興奮に手が震える母。

車から長男が見つめている。

降りて来ないんかーい笑い泣き

 

いや、アイドルに傷をつけては大変だ。

マネージャー失格ではないか。

そのまま

車から応援してもらう事とした。

 

その後

見事にカラスさんの身柄を確保。

いや

すんなり確保。

聞き分けが良いカラスさんなようだ。

予定通り紙袋に入って頂き、

そのまま車を出発させた。

 

物凄い人助け、

いや

カラス助けをした私

最高に良い奴だ。

最高の親子じゃないか。

なんて、

長男とともに自分たちを褒めたたえながら、

カラスさんをまず病院に連れて行こうと

長男と意見が一致。

けがをの心配をしながら、

動物病院までの道のりを

爽快に気持ち良く車を走らせた。

カラスさんも紙袋のお部屋で

私たちとともに

短いドライブを満喫しているようだった。

本当は怯えていたのかもしれないが…。

 

しかし、

状況は一変する。

そう遠くはない動物病院には

すぐに到着した。

土曜日の午後だったため、

すでに動物病院は閉まっている。

急患用のインターホンがある。

もちろん

急患だ。

   

長男と勢いよくインターホンを押した。

すると、

すぐに中年の女性が出てくれた。

ヨッシャ~!

早速、カラスさんの診察を依頼する。

巣立ちに失敗したため、けがの可能性があること、

診察をして欲しいことを、

早口で説明する。

普段から早口な母が興奮により

更に早口になっている。

そんな説明もむなしく、

途中で遮られる。

母よりも勢いのある早口で

「からすは害鳥なので、診察はできませんびっくりマーク

 

え?

「元いた場所に返してください」

ん?

 

羽か足を傷めている可能性もあったが、

結果

診察は受けられなった。

 

小鳥などが落ちてる場合は

巣立ちの訓練中のため、

保護してはいけない事は

知っている。

それくらい知っているよ。

でも、

今回は違うじゃないか…

ケガをしていてもダメなのかショボーン

 

インターホンごしに怒られた感じになり、

諦めて帰宅した。

 

長男は大激怒だ。

 

無計画に保護したのは

浅はかだったのかもしれない。

 

ここからが本当の闘いとなるのだが

もう

ほら貝の音は聞こえない。

激怒する長男をなだめ、

とりあえず

元居た場所へ返す提案をする。

 

タイミングが良かったのか、わるかったのか、

丁度、学校の朝読の時に

母は長男に

「カラスの教科書」

という本を

プレゼントしていた。

その影響もあり、

カラスさんへの知識と情熱は

母よりも上回り

勝てる材料が何もなかったチーン

1つ思い付きで意見をすると、

10~20くらいの情報・知識を返してくる。

若干

感心する、母。

これまた親バカは発動かアップ

長男の脳みそには

カラスさんの生態が

びっしり詰まっている。

叩いてやりたいくらいだ。

 

結局、母は脅しという手段を選んだ。

「可能性は低いが、もし、このカラスさんが感染症だった場合

我が家は第2の武漢になり得る。覚悟はできているのか」

もちろん根拠などない。

最低な母だ。

しかし

この根拠のないネタに長男が恐ろしさを感じたようだ。

作戦成功だ。

おいおい

なんだこの状況は。

大人って自分勝手だな。

カラスさんとの生活を少し夢見ていたのに

最悪な結果だ。

飛びながら自分についてくる姿まで想像していた。

残念過ぎる。

 

カラスさんにしてみたら、

乗りたくもない車に乗せられ、

突然

知らん獣医に自分の存在を全否定され

散々ではないかガーン

申し訳ないことをした。

 

結局、元居た場所に返して来たのだが、

大きな袋から、黒い物体を出す姿は

とてつもなく怪しい人間だったに違いない。

怪しいと思いながらも、

道路の横にある木の根元

芝生の上にそっと置いてきた。

最高に後ろ髪を引かれながら。

木の上にはたぶんお母さんカラスがいるに違いない。

確認はできなかったが、

不審者として通報されては困るので、

すぐに撤退してきた。

 

長男はまた車から見守っていた。

 

数年後

ちょっと気になり調べてみた。

いろいろ、いろいろ調べたが

カラスさんは

害鳥ではなく、

「鳥獣保護管理法」の対象で

飼育や保護には

役所に連絡が必要で

飼育は可能であったらしい。

 

獣医さんよ

「害鳥」ではないじゃないか泣

何か事情があったのかもしれないが、

「丁寧な説明と同意」

ちゃんとした

インフォームドコンセントをして頂きたかった。

 

この騒動の数日後、

学校から帰宅した長男が最高の笑みで話してくれた。

自分の大好きラブな女の子の家でも

野生の鳥を保護したと。

しかし

その鳥も飼育は難しいことが分かり、

すぐに自然に返したと…

これって、うちと同じだね花

頬を赤らめながら

にやにやしながら話している。

恋って無敵だ。

長男よ

確かに同じだ、同じなんだが

鳥の種類が全く違うのだ。

彼女の家で保護したのは

「セキレイ」

カラスさんとはちと違うな。

世間的にはかなり扱いが違うのだよ。

もちろん

カラスさんは大好きだ。

こんな家族はあまりいない。

ちょっとヘンな家族なのだよ真顔

でも、

このセキレイさんのエピソードには救われた。

 

我が家の目の前にある電柱に

毎朝、2~3羽のカラスさんが来る。

見つけた時には

「おはよう、が~こちゃん」と

お声かけをさせて頂いている。

敬意を払って。

 

最後に

大激怒していた長男の一言

「カラスだって生き物だ。なんで診てくれないんだ。同じ動物なのに

          平等に診てくれないんだ。おかしい。おかし過ぎだ!!」

心に響くなぁ…

今でもこんな純粋な気持ち

忘れずに持っていてくれるのかなぁ真顔

 

ただね、長男くんよ

クワガタさんは動物病院では診てもらえないのだよ。

点滴も難しいし、薬もないと思うぞ。

 

ピュアで心優しい長男は

カラスさんだけでなく

命あるものへの気持ちは

誰にも負けないのであった花