弟がお空にいった

母にとっては大事な息子だった

どれほど慈しみ育てていたか

弟にとっても

それはそれは一番の母だった

なのに二人は死に目にあわせてもらえなかった

その非情さ・・・・・

 

言葉にださずとも

態度で示さずとも

愛情の深さは当人同士伝わっていれば十分

それでも

今生の別れに息子にあわせてもらえなかった

母の思いはいくばくか

 

 

1年すぎても母は その思い 気持ちを 

冷たい氷の奥底深く閉じ込めている

決して口にださずとも

娘だからわかる

会いたい会いたい

会いたい会いたい

 

決してお嫁さんへの愚痴も悪口もいわない

どれだけ強い母なんだ

 

 

 

 

いいことじゃないかもしれない

それでも

あたしは

母が息子と過ごした思い出の場所へ

連れていく

二度と訪れない息子との時間

それでも

その時どれほど幸福だったか

その気持ちを思い出させてあげたいの

 

 

母は意識障害で

記憶は残らずすぐに忘れる

認知症で症状もでている

そんななかでも息子のことを思わない日はないだろう

 

だからね

連れていくの

 

ここ来たよね

ここで釣りしたね

このお菓子好きだったよね

そんな思い出話をして一瞬喜んで

以前の母の表情をみせてくれても

家路につくころには

どこに行っていたかもう忘れている

 

ただ

心が少しあったかくなっていることには

体も気づいているのだろう

ほんの少しだが

いつもより頬が笑っている