これは私が中2のときの実話を

もとにしたものです。



意地っ張りで

  “好き”

って気持ちを認めなかった私が

バレンタインで人生で初めての

告白をしました。



告白はした方がいいって雑誌で

言われているけど

後悔したこともありました。


進級して、また彼と同じクラスに

なったので気まずかったです。

受験前になると、お互いそういうことは

忘れかけていたけど。



今高校生ですが、中学を卒業してから

武井に当たる人には一度も

会っていません。



最近は、彼に告白したことを

後悔しなくなりました。


だから、いつか彼に再会したら

「あのとき告ったことに後悔してないよ」

って言いたいです。


たとえ、どんな態度で接してきても…。

あれがきっかけで、人に気持ちを

伝える勇気が出たのだから。





あれからちょうど1ヶ月。

ホワイトデーを迎えた。


「おはよう」

「おはよう。杏菜、先輩から何か貰う?」


その日は卒業式で、クラスの子は

先輩から名札やハチマキを

貰おうとしていた。



「ねぇ、武井いるよ」

振り向くと、男友達と話す彼がいた。


別に期待している訳ではない。

1ヶ月前、あんなことあったし。


「琴名、トイレ行こう」

「うん」

なんかずっと武井を見つめているのも

気持ち悪いから。


ふと、琴名が何か言いたげな顔をしている

ような気がした。



数分後―。

うちの机に紙袋が置かれていた。


「これ、武井からだよ。あたしも

お返しにもらったし」


うそ…。


中には、マドレーヌなどのお菓子。


すぐに席を離れて、一歩ずつ彼に近づいた。

「武井、お菓子ありがとう」

彼は振り返ることもなく、教室を出ていった。

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けど、落ち込むことはなかった。

きっと、あの手紙の内容を

理解してくれたはずだから。


だから、ありがとう。

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昨日の騒ぎの内容は瞬く間に学年中に

広まっていった。


それから武井とは気まずくなった。

話しかけても答えてくれない。

なるべく近づかない。


幸い、悠理との関係は大丈夫だったけど

心の中に後悔の気持ちが増していく。


告んなきゃよかった。

素っ気ない態度の彼に傷付き

布団の中で泣き崩れた。


チョコは甘い。

けど、ハートはほろ苦い。


こうして、彼への恋は終わりへと

向かい始めた。



この恋は決して後味がいい

ものではなかった。


今でもたまに“告ってなかったら

どうなってたんだろう”って

思うことがある。


でもいつかは堂々と武井や同級生に

“告ったことに後悔していない”

って言える日が来るかもしれない。



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