ピンクや水色のリボンや袋。

手作りキット。

いつもはない、チョコ菓子の本。



2月―。
街はすでにバレンタインの季節となっている。

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駅の本屋で、立ち読みする女の子に混ざりながら小さな本を手に取った。



「杏菜」

ふと、背後から誰かに声をかけられた。

「美帆ちゃん」

彼女は同じ中学の子で、今は地元の高校に通っている。

「杏菜、好きな人いる?」
学校も違うので、この時期らしいことを聞いてきた。

「いないよ。てか出会いないよ~」

今年は友チョコだけ。

本当は彼氏がいたら楽しいと思うんだけどなぁ。



「そういえば、“アイツ”に会った?」

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「会ってないけど。てか、今さらその話!?」

「だって、好きだったんでしょ?」

ちょっと美帆さん!

やめて!



美帆と別れ、寒く暗い中、自転車をこぎながら2年前を思い出した。

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