今年読んだ本から | パパ・パパゲーノ

今年読んだ本から

 今年は単行本(四六版やA5版)にあまり手が伸びなかったので、記憶に残る新書と文庫にしぼって紹介します。


①ジェフリー・アーチャー〈クリフトン年代記第1部〉『時のみぞ知る』(上・下、新潮文庫、670円、630円)、〈2部〉『死もまた我等なり』(上・下、新潮文庫、各630円)
②小川洋子・岡ノ谷一夫『言葉の誕生を科学する』(河出文庫、640円)
③吉田秀和『マーラー』(河出文庫、760円)
④スティーヴン・キャラハン『大西洋漂流76日間』(早川NF文庫、860円)
⑤逸身喜一郎『ギリシャ神話は名画でわかる:なぜ神々は好色になったのか』(NHK出版新書、860円)
⑥室谷克実『悪韓論』(新潮新書、720円)
⑦大橋巨泉『366日命の言葉』(ベスト新書、800円)
⑧西原理恵子『スナックさいばら おんなのけものみち』(角川書店、新書版、「七転び八起き編」「バックレ人生大炎上編」「ガチ激闘編」の3冊刊行済、各800円)
⑨夏井睦(まこと)『炭水化物が人類を滅ぼす:糖質制限からみた生命の科学』(光文社新書、880円)



①はアーチャーの新作。英語版はすでに第3部が出ている。来年第4部が出るらしい。イギリス近・現代史をスケール大きく描く年代記。登場人物が男女とも(悪役も含めて)おそろしくアタマのめぐりがよい。
②は、鳥の研究から言語の起源を追及する岡ノ谷教授に小説家がするどく質問する。
③吉田秀和全集からマーラー関連の文章を選んで文庫にしたもの。若い時(と言ってもおそらく50代)の文章の溌溂としていることにびっくりする。
④これは1999年の刊行。救命イカダで76日のサバイバルを果たした人の手記。鉛筆3本を六分儀代わりにして北極星を観測し、自分の位置がどこであるかを決める。頼まれてもやりたくない究極の冒険。
⑤ティツィアーノやコッレッジョ、ルーベンスの描いた女体(だけではないけれど)の物語はギリシャ神話の何に基づいているかを丁寧に語る。
⑥お隣の国がどういう成り立ちであるかを理解するための一冊。
⑦366日、その日が命日の有名人、無名人を取り上げて、言行をスケッチする。芸能人の一筆書きにこの人ならではのセンスを感じる。
⑧アケスケな打ち明け話(読者から募集した文章に西原さんがコメントをつけていくスタイル)に仰天しながらも、この漫画家の生きる姿勢の凛々しさが伝わる。
⑨糖質制限ダイエットの理論的考察。今年読んだ中ではもっとも刺激を受けた1冊。