いのちの食べかた | パパ・パパゲーノ

いのちの食べかた

 スーパーのお肉屋さんに並ぶパック入りの牛肉や豚肉が、どういうプロセスでできるのか、これまでは知らずにきましたが、森達也という映像ドキュメンタリー作家の本、『いのちの食べかた』(理論社:1000円)を読んだらよく分かりました。


 牛にしろ、豚にしろ、肉になるまえにどこかで殺されているわけですが、苦しまずに死なせる方法はあるのだろうか、と思っていました。殺される牛や豚が本当に苦しみがないかどうかは分かりませんが、現在の屠殺方法は、1分以内に死に至らせるようです。


 1頭分の牛が通れる通路の途中で、ピストルで眉間に針(3センチほど)を撃たれる。「ノッキングペン」という名前。撃ったらすぐピストルのほうに引っ込むようになっているようです。撃たれた牛は脳震盪を起こして硬直し、1メートル半ほど下に滑り落ちます。何人かの男が待ち構えていて、一人が眉間に開いた穴から1メートルほどの金属のワイヤーを差し込んで、脊髄を破壊する。全身麻痺を起こさせるのだそうです。同時に、別の一人が頚動脈をナイフで切る。逆さに吊って、血を流す。その後の作業は、皮を剥ぐなどいくつものプロセスがあります。頚動脈を切られた段階で心臓は脈打っているので、血を抜くことが可能になるのだそうです。むごいようですが、牛が牛肉になるための、安楽な死なせ方というものらしい。手順が少しでも狂うと、牛が苦しんで暴れだすので、解体に従事する男たちの神経は張りつめているようです。


 豚の場合は、炭酸ガスを吸わせて仮死状態にし、その後のプロセスは牛と同じということです。


 この本の想定する読者は、小学校高学年から中学校までのようで、漢字にルビがたくさん振ってあります。


 日本における肉食の歴史の概略も書いてあり、肉食をめぐるタブーにまで踏み込んだ力作です。


 磯崎哲也さんという方の次男(?)さんが入学した中学校で指定図書になったのだそうで、なんといい学校にいれたことか、と感激していました。ツイッターで知ってさっそく購入しました。


 「いのちの連鎖」の過程を知ることの大切さを教えられます。よい本を紹介してくださった磯崎さん(もちろん直接には存じ上げません)に感謝します。


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