やっぱり、カラヤン | パパ・パパゲーノ

やっぱり、カラヤン

 『クラシックジャーナル』040号というムック(形式の本)が、いま書店に出ているはずです。A5版。大きな本屋さんに行かないと目に入らないかもしれません。「1号1テーマになって、リニューアル」と題字の下にあります。もとは隔月刊だったようです。初めて手にしたジャーナルです。


 この号のテーマが、ヘルベルト・フォン・カラヤン。最初の座談会「やっぱり、カラヤン」が圧巻です。三澤洋史(みさわひろふみ・指揮者)、角皆優人(つのかいまさひと・スキーヤー)、板倉重雄(いたくらしげお・音楽評論家)、中川右介(なかがわゆうすけ・クラシックジャーナル編集長)の4人が、それぞれのカラヤン体験を語っています。2段組で80ページ近くの分量ですから、じつに読みでがある。


 三澤さんは、現役の指揮者なので、カラヤンの音楽の作り方がいかに他の人と違うか――意外なことに、カラヤンは、中庸なところをとって異論が出ない演奏を目指したのだそうです――を解説してくれます。「いっせーのせっ」で、指揮棒に合わせても、オーケストラから出てくる音が「音楽」になるわけではない、という話が、説得力がありました。


 スキーヤーの角皆さんは、三澤さんの高校時代の同級生なのだそうです。音楽を聴いていると、この指揮者がスキーをすべったら、どういうターンをするか想像がつく、と発言しています。カラヤンは、スキーヤーになっても大成しただろう、ということです。


 板倉さんは、CDショップとして有名なHMVの渋谷店のマネージャー、『カラヤンとLPレコード』という著書もあるそうです。本書のLPのジャケット写真はすべて板倉さん所有と最初に書いてあります。


 中川さんは『カラヤンとフルトヴェングラー』『カラヤン帝国興亡史』という傑作をものした、売れっ子評論家でもあります。


 この、年齢差10年ほど(1955年~65年生まれ)の4人が、どれほどカラヤンに入れ込んできたか、湯気の立ちそうな熱気が伝わる1冊です。他の記事は、裄野條(ゆきのじょう)「わたしのカラヤン」、土井尊博(どいたかひろ)「カラヤンとマーラー」など。税込み1260円は安い。


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