雪やこんこ | パパ・パパゲーノ

雪やこんこ

 今年も、1月3日から小安(おやす)温泉の「こまくさ」(→こちら )にいました。朝と夕方に温泉に浸かって、どっさり食べて、たっぷり昼寝をしてきました。「ごくらく、ごくらく」とつぶやかざるをえませんね。


 ハタハタの鮨、大根の柿漬け(?)、梅の実の酒粕漬け――いわゆる奈良漬け、初めて食べましたが、タネもサクサク食えるのでした。珍しい味――、みんな旨かった。びっくりしたのは、クジラの刺身。これがうまいのなんの。石巻港から直接取り寄せたんだとか。奥羽山脈(のトンネル)を抜けて届いたのでしょうね。


 毎日、雪が降っていました。サラサラ降り下りる雪でしたから、すでに積もっている雪の山が、うんと高くなるということもありません。それでも、除雪車が出て、道路を広げていました。


 由紀さおり・安田祥子姉妹が、童謡「雪」を歌っているのを、宿の部屋のテレビで聞きました。


  雪やこんこ 霰(あられ)やこんこ
  降っては 降っては
  ずんずん積もる
  山も野原も綿帽子(わたぼうし)かぶり
  枯れ木残らず花が咲く


 バスで行く道すがら、目にとまる風景はこの歌のとおりです。落葉樹の枝の、枝なりに雪が積もっているのがまことに風情があります。そこへ行くと、杉の木(常緑樹)の葉に積もった雪は、ボテッとしてイロケがありません。


 この童謡に出てきた「枯れ木残らず花が咲く」の「枯れ木」は、dead tree(デッド・ツリー:死んだ木)ではありえませんね。いつも引く『明鏡国語辞典』の語釈はこうなっています。


 かれき【枯れ木】枯れた木。また、葉の枯れ落ちた木。「枯れ木に花」「枯れ木も山の賑わい」⇔青木


 「葉の枯れ落ちた木」という説明をしている国語辞典は案外少ないのですね。『広辞苑』も、第3版までは、「落葉した樹木」という、現行の第6版にはある語釈はありませんでした。


 この童謡くらいしか、用例はないと思われます。「枯れ木に花」も、「枯れ木も山の賑わい」も、「枯れた木」という意味で使われています。「花咲か爺さん」も、死んだ木に咲かせたから面白いので、落葉した木だったら、季節を早めただけ、という理に落ちた話になってしまう。


雪の結晶       雪の結晶       雪の結晶       雪の結晶        雪の結晶