あさっての次の日
私が育った地域の方言では、「あさっての次の日」のことは「ヤナサッテ」と言いました。各地で「ヤノアサッテ」と言うのと同じ単語です。
アシタ(明日)―アサッテ(明後日)―ヤナサッテ(明々後日)
という順番です。さらにその後の日を呼ぶ呼び方はなかったと思います。
かつて、国立国語研究所が『日本言語地図』(全6集、1967-75)という大型の図録を発行したことがあります。今では、大きな図書館などで閲覧する他にないかもしれません。
その中に「アサッテの次の日」をどう言うかの地図もありました。インタビュー調査(インフォーマント調査と言う)をして、地図上に、それぞれの言い方を区別する記号を書き込み、ひと目で分布が分かるようにしたものです。
それによると、東京都区内では、その周辺の関東全域と違った表現があることが分かったのだそうです。
[東京都区内]
シアサッテ:アサッテの次の日
ヤノアサッテ:アサッテの次の次の日
[その他の関東全域(多摩地方を含む)]
ヤノアサッテ:アサッテの次の日
シアサッテ:アサッテの次の次の日
そっくり逆になっているようです。現在(2009年)調べても同じ結果になるかどうかは分かりません。
同じ調査によると、岐阜県の稲葉郡というところでは、
アサッテ→シアサッテ→ゴヤサッテ
と言うのだそうです。ゴは「五」です。その次の日は「ロクアサッテ」。さらに言おうと思えば言えるらしい。
「シアサッテ」の「シ」は何を意味するのか不明のようです。もっとも「アサッテ」だって、語源ははっきりしません。「ヤノアサッテ」の「ヤノ」は「弥(ますます)」(「弥栄(イヤサカ)」などというときの)の意味だ、ということになっているようです。
「ヤノ」は「ますます」の意味なんだから、「ヤノアサッテ」は「アサッテのアサッテ(今日から数えて5日後)」を指す、という地方もあるんだとか。
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