葛飾区立中央図書館
葛飾区立中央図書館というところに行ってきました。この10月17日にオープンしたばかりだそうです。金町駅のまん前のマンションの3階のフロア全部が開架式図書館で、400席を越す座席があります。蔵書の検索はパソコンの端末でおこない、館内地図を片手に自分で探す仕組みでした。開架式でない書庫もあるようで、そこの書物を閲覧したい場合は、係員に申し出ることになっています。L字型になった、おそろしく広いスペースですが、ワンフロアなので、移動は苦になりません。
葛飾区民と、近隣の区民(および隣の市である松戸市の市民)は、貸し出しのサービスが受けられます。それ以外の人は、館内での閲覧が自由だということでした。久しく、図書館に入館していなかったので、天井の高い、日差しが一杯の図書室の印象は鮮烈なものでした。この図書館のことは同僚のイトーさんが教えてくださいました。
インターネットで蔵書の検索をしていたら、葛飾区立図書館にあることがわかりました。探していたのは、「田村俊子選集」(全3巻)です。区内の図書館は12か所ほどもあるので、中央図書館にあるか否かは、ネットで調べただけではわからないのですが、おそらくここにあるだろうと、見当をつけておもむいたら、案の定、開架式の文学全集の棚にありました。探していた作品、「枸杞の実の誘惑」を収録した第2巻は、あいにく貸し出し中で見られませんでしたけれど。
前回書いた中野重治が、田村俊子(1884-1945)のこの作品に言及して、そこで提起された問題がまだ解決されていないではないか、と書き、何ヶ月か後の『展望』にその作品が掲載されたのを読んだことを思い出し、再読してみようと思ったのでした。
強姦されて身も心も傷ついた娘がいるのですが、親も兄弟も、「お前がスキを見せたのが悪い。キズモノになった娘を家に置いておくわけにはいかない」と、無体なことを言い出して、娘が自暴自棄に陥ってしまうのだったか。小説は、戦前に発表されたものですが、再掲された1960年代後半においても、問題の根本は解決されていない、という意味のことを中野重治は、強い口調で述べていました。
再読したい作品は、たいていの場合、古本屋で探してきたのですが、これからは、大きな図書館も探索場所になりそうです。
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