定期購読 | パパ・パパゲーノ

定期購読

 私が編集の仕事に就いたのは、1970年です。三島由紀夫が自決した年。大阪万博というのもありました。もちろん、インターネットは影も形もなかった。ケータイ電話もない。


 今では、まずパソコンを起動させて、メールのチェック、ニュースの見出しをざっと見て、必要な記事に目を通すことから一日の仕事が始まりますが、当時は、テレビのニュース、新聞という順番でした。


 編集というのは、大きく言えば森羅万象にかかわるテーマを取り扱うので、「好奇心」をエンジンにして、情報を広く浅く収集する必要があります。


 手っとり早いのは、週刊誌でした。毎週読んでいた週刊誌は、『週刊朝日』『サンデー毎日』『朝日ジャーナル』『週刊ポスト』『週刊文春』『週刊新潮』などです。写真週刊誌が創刊されたのは少し後ですが、それも毎号見ていました。


 月刊誌は、『文藝春秋』『世界』『諸君!』『中央公論』『噂の真相』『話の特集』など。文芸誌も、『オール読物』『小説新潮』『文学界』『海』『新潮』など。『群像』と『文藝』は、隣のセクションで取っていたのをときどき見せてもらっていました。


 普通の書店は、雑誌や本を、「取次(とりつぎ)」という名前の卸売り店から、定価の 78% ほどで仕入れますが、出版社でも、それと同じ割引率で他社の本を買うことができます。ここに書きだした雑誌類を、すべてその方式で買ったわけではありません。週刊誌や『文藝春秋』などは、駅のキオスクで買う。


 そんなにたくさん買って、全部読むのか、と聞かれたこともあります。読めるわけがない。そうではなくて、言ってみれば、めくるために買いました。めくるだけなら、1冊10分もかかりません。興味をひく記事や小説などだけを読むのです。


 野坂昭如、山口瞳、半村良、向田邦子、山本夏彦、山本七平、中野翠、養老孟司、高山正之、などの連載は、待ち遠しいものでした。


 定期購読のためにかかった費用は、一サラリーマンとしてはずいぶんな額のはずですが、社会勉強のための「学費」と割り切るほかありません。


 今では、インターネットで、無料で大量の記事を読むことができます。英語を読む手間を惜しまなければ、世界中のニュースをほぼリアルタイムで追跡することさえできます。


 左に列挙しているブックマークにはほぼ毎日アクセスしていますが、これらも皆、じつに面白い。最近の収穫は堀江貴文のブログです。時代の先端を読む目のつけどころが冴えわたっています。


うり坊        うり坊        うり坊        うり坊        うり坊