パリ・オペラ座のすべて | パパ・パパゲーノ

パリ・オペラ座のすべて

 『パリ・オペラ座のすべて』というドキュメンタリー映画を見ました。監督はフレデリック・ワイズマンというアメリカ人。渋谷のル・シネマという映画館です。全国でも数えるほどしか公開されなかったようです。大阪・京都・名古屋など。


 原題は、La danse: Le ballet de l'Opera de Paris というものです。『ダンス:パリ・オペラ座のバレエ』という意味でしょう。「オペラ座のすべて」という訳題は、明らかにミスリーディングです。だいいち、オペラがひとつも出てきません。オーケストラさえ、ほんのわずかに顔を出すだけです。


 ひたすら、ダンス(バレエ)のレッスン風景が繰り返されます。出てくるダンサーは、オペラ座のエトワールたちですから、練習とは言え、圧倒的な踊りを見せてくれます。私は、誰も初めて見るダンサーたちですが、知っている人には、ため息の出るようなラインアップのようです。マチュー・ガニオ、バンジャマン・ペッシュなどの名前を、来春来日する公演のチラシで確かめましたが、この映画にも出ていました。


 芸術監督のブリジット・ルフェーブルという人がしばしば登場して、コレオグラファーと議論したり、演出家らしい人と電話で話したりする、その様子を実写していきます。


 ガルニエのオペラ座(本拠地。もう一つはバスティーユのオペラ座)の屋根上で養蜂が行なわれているのは有名な話ですが、ネットをかぶったおじさんが、ハチミツで一杯のパネルを階段の踊り場に運ぶシーンがいきなり出てきます。説明がないので、知らない人は、なんでこの場面があるのだろう、といぶかしく思うかもしれません。


 衣装の縫い子さんや、髪を整える床屋さんや、顔のメークアップをする美容師や、食堂のコックさんなど、裏方の人々もたくさん出てきます。照明のコントロール・ルームも出てきました。劇場の経営側の偉い人が、四十歳で定年になるという、ダンサーたちの年金について方針を述べるシーンまでありました。


 盛りだくさんの映像でしたが、全部で2時間半もかかるのは、いくらなんでも長すぎました。「くるみ割り人形」の練習シーンだけは、知った音楽(ピアノ伴奏)なので少しホッとします。「パキータ」という初めて見る・聞く作品が好ましいものでした。


 少し前に『幸せはシャンソニア劇場から』という、ちょっとミュージカル風の映画を見たのですが(これはよくできていました)、そのときの予告編で、「オペラ座のすべて」が紹介されていたので、思い立って見物してきたのです。


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