邦楽と洋楽 | パパ・パパゲーノ

邦楽と洋楽

 「邦楽」という言葉は、かつては「日本の伝統音楽」を指しました。洋楽(西洋の音楽)に対して使われる。古くは雅楽から平家琵琶や謡曲、近世の浄瑠璃、三味線曲などなどです。信濃追分、秋田おばこなどを含む民謡をも指す、広い概念でした。国語辞書で「邦楽」を引くと、この意味しか出ていません。


 最近では、邦楽と言えば、まずはいわゆる J-POP を指すことになっているようです。CDショップに行って、いやに邦楽の棚が多いのに気づいたのは10年くらい前でしょうか。日本製の音楽だから、間違いとは言えないけれど、まぎらわしい名称であることには変わりない。


 それに、今では、歌謡曲というジャンル名が使われなくなっているような気がしています。松山千春の作曲した「恋」「長い夜」「季節の中で」など、いずれも名曲だと思いますが、昔の分類では、歌謡曲でしょう。演歌というジャンルは生き続けているけれど、松山千春のはその分野に入らないと思う。吉幾三の「酒よ」とか「雪国」は、ジャンルとしては演歌になっていますが、これらも、私の感覚では歌謡曲です。


 もちろん、曲が素敵なら、ジャンルや名称はどうでもいいじゃないか、とも思います。


 「趣味は音楽です」と言えば、昔は「洋楽ですか、邦楽ですか?」と聞かれたものですが、最近では、そう言うことも聞かれることも、少なくなっているのでしょうね。でも、「このごろ、洋楽が好きになりました」と誰かが言ったら、「ビヨンセかな? それともバックストリート・ボーイズ?」などという会話が成立しているのかしら。「いいえ、バルトークとかストラヴィンスキーです」と答える人がいるシーンは想像しにくいですね。


 J-POP(ジェイ・ポップ)という名前は、J-WAVE というラジオ局が付けたものだそうですが、おそらく、Japanese Popular Music という意味でしょう。それなら「舶来ポップ」という意味で、iPOP とか fPOP とかにしておけばよかったでしょうに。もっとも、ジェイ・ポップという言葉も、あまり普及しているとも言えませんけれど。


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