アゲハチョウ
最近アゲハチョウを見かけることが多くなりました。蝶のことはほとんど何も知りませんが、アゲハチョウなら、名前が分かるのがいくつかあります。
数が多いのは、クロアゲハという種類だろうと思います。カラスアゲハのような赤い斑紋がないように見えますから。
キアゲハもときどき見かけます。柄が大きくていかにも「揚羽蝶」と呼ぶのにふさわしい。
どんな蝶を見ても、形や色の玄妙なのに感嘆しますが、とりわけ美しいと思うのがアオスジアゲハです。羽にエメラルドグリーンの筋が入っている、ちょっと小ぶりのチョウです。「造化の妙」というのはこういうのを指すのではないか、と思います。
モンシロチョウやモンキチョウは、子どものころ、家の近くの畑で見かけたものでした。虫になんの関心もなかったので、ほかの蝶のことは知らずに大人になりました。
学生のころ、寮で同室になったサワダさんが、あるとき毛虫を捕まえてきて、部屋の中で、葉っぱのエサ(柑橘類)を与えていました。しばらくして、サナギが天井近くの柱に落ち着きました。「もうすぐ羽化するよ」と聞いて、数時間(?)後だったか、部屋の中を、きれいな蝶が舞いだしました。それが、アオスジアゲハではなかったかと思います。
自分の子どもが小学生のころ、酔っ払って深夜に帰宅したら、マンションの入り口階段のコンクリートの壁で、今しも羽化する蝶を見つけました。急いで子どもを起こして羽化の瞬間を見せてやろうとしましたが、目を覚まさなかったので失敗に終わりました。
養老孟司先生とか、福岡伸一先生とか、かつての昆虫少年たちの書く思い出話を読むたびに、心の奥で少しばかり悔恨の気持ちが動くのを感じます。
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