倍音 | パパ・パパゲーノ

倍音

 音叉というのをご覧になったことはありますね。U字形の両側が8センチ位の長さなっていて、お尻の丸いところから3センチほどの長さの棒がついている。鉄でできていると思うけれど材質は知りません。短い方の先端が球状になっている。そこを持って、U字の片方をどこかにぶつけると振動します。球を耳のうしろにくっつけて、「音を取る」ということをします。大抵の場合、440サイクル(ラの音、A〔アー〕)に設定されています。


 今では、精密な電子機器でできた音叉(の代わり)があるようですが、原始的な道具の方に愛着があります。オーケストラでオーボエが最初に鳴らすのもこの音程です。音叉は使っていないかもしれません。


 今練習している、ケルビーニの『男声合唱のためのレクイエム』という曲は、レ(D)から始まります。ニ短調。音叉の音から5度下の音。そう言えば、モーツァルトの『レクイエム』(混声)も同じ音から始まる。


 ケルビーニのレクイエムの最終曲「アニュス・デイ」のおしまいあたりで、バスがレの音程のまま「レークイエム エテールナム」と唱え、2小節遅れてテナーがラの音を重ねて同じ文句を唱えます。ステージでは聞こえるかどうか自信はないのですが、練習場では、その時、1オクターヴ上のラの音が聞こえてきます。耳のよい人なら、さらに上のレの音を聞くことができるはずです。この「倍音」が響くときほど、合唱の面白さを感じるときはありません。


 「倍音」というのは、ある音(基音)の整数倍の周波数の音のこと、と説明されます。ひとりで発声しても、倍音は含まれているのだそうですが、響きが小さくてよく聞きとれません。たくさんの声が重なると、個々の倍音が増幅されてはっきり聞こえるもののようです。


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