永井淳 | パパ・パパゲーノ

永井淳

 ジェフリー・アーチャー『誇りと復讐』(上下、新潮文庫)を、昨日読み終えたばかりです。エドモン・ダンテス(モンテ・クリスト伯爵)の現代版。いつもながら、手に汗を握る長編。復讐譚ですから、陰惨な話におちいりそうなところを上手にまとめてあります。


 訳者は永井淳。ジェフリー・アーチャーの作品の翻訳は、ほぼこの人が手がけてきました。今日の新聞の訃報欄を見て、4日に亡くなったことを知りました。享年74。「特発性間質性肺炎」という難病で死んだそうです。原因不明、10万人に5人くらいの患者数、女よりも男に若干多い。


 アーサー・ヘイリーの諸作品も永井淳訳でした。『エネルギー』『最後の診断』『自動車』など。


 アーチャーで面白かったのは、『百万ドルをとり返せ』『ケインとアベル』など。


 すべて新潮文庫(絶版にしていなければ)で読むことができます。


 一度だけ電話でお話ししたことがあります。翻訳裏話のような原稿を書いていただきたいと依頼したのですが、「ヨコのものをタテにするだけで手いっぱいです」と、巧妙に断られてしまいました。


 『誇りと復讐』に、スコットランド訛りで話す大男が出てきますが、「おれがこごさ坐ってるど外がらは見えねえがら」などと、東北方言ふうに訳されています。秋田県出身だそうですからお手のものなんですね。


 わざとらしさを微塵も見せない、スルスル頭に入る訳文を綴る名手でした。ご冥福をいのります。


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