消されたヘッドライン
ラッセル・クロウが敏腕の新聞記者、彼のかつてのルームメイトで今は下院議員がベン・アフレック、記者の上司がヘレン・ミレン、オスカー俳優勢ぞろいの予告編を見ただけでも、面白そうな映画なので、封切になってすぐに見物してきました。
ワシントン・ポストがモデルになったらしい新聞社内部の風景が珍しいものです。若い、野心家の女記者をレイチェル・マクアダムズという初めて見る女優が演じます。
薬物中毒の黒人少年がワシントンの裏通りでピストルで殺されます。通りかかったピザ配達の白人の青年が、目撃者を消す目的で撃たれますが、命は取りとめる。さらに、次の朝、若い美女が地下鉄のホームから線路に落ちて死ぬ、という事故が起きます。地下鉄で死んだのが、下院議員スティーヴン・コリンズ(ベン・アフレック)の事務所で頭角をあらわした調査員デラ・フライだった。コリンズ下院議員は、戦争請負事業で巨額の利益を挙げるポイント・コープ社を調査する公聴会の議長。
こういうドラマの定石のようになっていますが、スティーヴンとデラは愛人関係にあった。それが、彼女が死んだことを伝えるテレビ・ニュースで各局が報じる画面でほのめかされます。
新聞記者たちが、真相究明の取材を慎重に進めます。編集長(という肩書を映画サイトでは使っています)ヘレン・ミレンは、取材はほどほどにして売れる紙面を作るのが先だ、と部下を叱咤する。
それぞれの事件・事故が、複雑に絡み合って、話は二転三転するように展開します。もとはテレビの連続ドラマを映画化したものらしい。そのせいなのか、もっと説明がないと、ドンデン返しはよく理解できないところがありました。
今や、アメリカの新聞社は、紙の新聞に代わって、電子新聞(インターネット)が主力(少なくとも半分)になりつつあるらしいのがよく分かります。
原題は State of Play。プレイは「トランプのゲーム」などの「ゲーム」のような意味らしい。State of Play で「現状・情勢」という訳語もついています。今、どっちがどういう「持ちカードの状態か」というような含意だと理解すると、タイトルに選ばれた理由も納得できます。邦題は、苦しまぎれでしょうが、原題の直訳よりはなじみやすい。
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