ああ上野駅
JR東日本に「大人の休日倶楽部」というものがあります。吉永小百合さんがイメージ・キャラクターで宣伝しているやつ。男65歳、女60歳以上が資格のある「ジパング倶楽部」というのに入会すると、JRの旅行料金が3割引きになる。それに申し込もうと、上野駅構内にある事務局を訪ねてみることにしました。
総合案内というところで道順を聞いて、その通りに進んだつもりでしたが、迷子になってしまいました。ケータイ電話で道順をたしかめてようやくたどり着きました。迷子になるはずです、駅全体が大きく様変わりしていたのでした。新幹線の乗り降りに利用するのは上野駅が多いので、地下深くのホームまで降りるエスカレーターには何度か乗りましたし、上野公園の東京文化会館に行くときは、「公園口」の改札を通ります。あと、新幹線の改札口手前の大きな本屋さんには、行くたびに寄ります。そのくらいが、馴染みの上野駅ですが、それ以外の場所がどうなったか、については関心がなかった。遠回りしながら、「ああ上野駅」とつぶやいてしまいました。井沢八郎にそんな歌があったよなあ。調べてみたらその通り。
どこかに故郷の 香りをのせて
入る列車の なつかしさ
上野は俺らの 心の駅だ
くじけちゃならない 人生が
あの日ここから 始まった
昭和39年のヒット曲でした。集団就職の時代の歌ですね。私の故郷からも、何人もが集団就職で東京にやってきました。彼らは、上野駅で夜行列車を降りたはずです。もちろん当時でも、上野駅は一大ターミナルでしたから、改札口の前のコンコースの広さに驚いたことでしょう。今では、その上に、アトレという名前の飲食店街が3階まであるようでした。上野駅構内図 というのをリンクしておきます。線路の上を通って公園に行けるなんて、昨日まで知りませんでしたよ。
もっとずっと昔、石川啄木がうたった短歌に出てくる「人ごみ」の場所は、このコンコースほど広くはなかったでしょうね。
ふるさとのなまりなつかし
停車場の人ごみのなかに そを聞きにゆく
井沢八郎の歌には、この短歌の情感が反響していますね。