催眠儀式
夜ふとんに入って、まず息をすっかり吐き出してから、ゆっくり四つ吸い、二つ止めて、口から細く八つ吐き出す、これを何度か繰り返します。前に「あるある大事典」というテレビ番組で教わった催眠儀式です。繰り返しは意識しながらやりますが、適当なところで、普通の呼吸に戻ると、大抵、気がつかぬ間にストンと眠りに落ちています。
座禅の呼吸法に、2500尺下から、身体の中心を通して息を吸い込み、吸った息をそのまま、2500尺下へ吐き出すようにする、というのがあると聞いたような気がします。2500尺は800メートルくらい。とくに根拠のある距離とも思えませんが、要は、深々と吸ったり吐いたりするのが肉体にも精神にもよい影響があるということのようです。
井上昌次郎先生の『眠る秘訣』(朝日新書)を読むと、睡眠研究も日進月歩のようです。先生は、この30年余り、睡眠学会を組織し、世界的な学会の理事をなさりながら、日本とアジアにおける睡眠の科学を牽引してきた、第一人者です。子ども向けの眠りの本も書いていらっしゃいます。
この本によると、「自分の眠りがとくに気にならない状態であれば、それが、あなたにとって最良の眠りです」とのことです。なんとしても8時間の睡眠を確保する、とか、レム睡眠・ノンレム睡眠ひと組90分の「睡眠単位」の倍数寝ないと「健康な睡眠」とはいえないのではないか、と、心配すること自体が、病的だと思うべきなのだそうです。「どこでも寝られる」と自慢する人がいますが、それも、ただ睡眠不足だと告白しているようなものなんだとか。
年に2度くらい、眠りに入ることができずに、輾転反側することがありますが、そういうときは、「眠れないんだから起きてればいいや」と思うことにしています。それでいいのだ、ということが、この本で分かりました。糸井重里、福岡伸一両氏が、オビに推薦文を寄せています。
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