雑誌の休刊・廃刊
文藝春秋社発行の月刊雑誌『諸君!』が、今度の6月号で廃刊することになったそうです。1969年の創刊ですから40年続いたことになります。左翼の言論が大手を振っていた時代でしたが、あえて、「健全な右派の論考」を看板にして、池島信平(当時社長だったと思う)が、創刊に力を入れたものだと聞いたことがあります。
巻頭に「紳士と淑女」というコラムが(創刊後何年か経ってから)設けられ、辛辣な筆さばきで人気になりました。長いこと、徳岡孝夫が匿名で書いていたと思われます。
山本夏彦が存命のころは、巻末に「笑わぬでもなし」と題するコラムを連載していて、これも評判でした。
「日本を元気にするオピニオン雑誌」という角書きが、タイトルの上に1行あります。たしかに、ある時期までは「元気にする」力を持っていました。
研究社の『英語青年』という、英文学・英語学の世界では権威のある月刊誌も、この4月からネット上でのみ読める形に変わるそうです。紙媒体での発行は終わりになります。この雑誌は1898年に創刊されていますから、100年以上の歴史があります(最初は研究社発行ではなかった)。
自分でも、月刊雑誌の編集をしたことがあるので、休刊・廃刊のニュースに接すると、担当者の心事を忖度して切なくなります。雑誌は、時代の要請に応える使命がたしかにありますが、その使命が終焉したと認めるときがつらい。
この二つのような雑誌が他の出版社から出てくる可能性は薄いと思われます。さびしいことです。
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