ニケとナイキ
ルーブル美術館の展示棟の一つ(3つだか4つだかの建物があって、それぞれ入り口が別になっていたと思う)の、正面階段の踊り場のような場所に「サモトラケのニケ」という、翼を持った、首のない大理石の立像がありました。サモトラケ島で19世紀に発見されたのでこう呼ばれる。ニケというのは、ギリシャ神話に出てくる「勝利」を擬人化した女神なのだそうです。ラテン語だとヴィクトリアになる。
ローマ字で書くとNIKEとなり、固有名詞として、英語での発音は「ナイキ」です。ミサイルの名前になったり、スポーツ・シューズ会社の名前になったりしました。
ふつうの単語で、-ke で終わるものは、まず例外なく「ク( k の音のみ) 」と読まれます。
bike like hike cake take make
NIKEも、その綴りを知らなければ、英語の話し手なら誰でも「ナイク」と読むんじゃないだろうか。外来語だという感じがあってはじめて「ナイキ(ー)」と、おしまいのEを意識して「イー」と読むことになるようです。
ボストン・レッドソックスに入団した松坂大輔投手は、DAISUKEと綴るので、「ダイスキ」と呼ばれたようです。「大好き」のようでいいじゃないか、という人もいました。
ついでながら、女優のレニー・ゼルウィガーと、オペラ歌手のルネ・フレミングは、ファーストネームの綴りはどちらも Renee です(表記のときは終わりから2番目の e にアクサンがつく)、テレビ番組などで紹介されるときは、(おそらく)どちらも「ルネイ」に近い発音になっていると思います。少なくとも女優のほうはそうでした。
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