パイナップル・ライス | パパ・パパゲーノ

パイナップル・ライス

 アメリカ西海岸、ロサンゼルスのちょっと北(西北)の海岸沿いに、サンタ・バーバラという都市があります。つい先ごろ山火事があったと報道された街だったか。
 
 マイケル・ジャクソンの豪邸があるとか、クリントン家の別荘があるとか、治安がいいので住みやすいという噂の街です。
 
 ここに、英語の音声教材を作る仕事で1週間ほど滞在したことがありました。今から10年以上前のことです。泊ったホテルが、チャップリンが作ったと言われる建物でした。『ライムライト』だったか、床屋のシーンを撮影した部屋が、記念にその当時のまま残っていました。ハリウッドからも近いわけで、チャップリンがガールフレンドと過ごすために作ったホテルだよ、と事情通が教えてくれました。
 
 録音会社のスズキさんは、何度もサンタ・バーバラを訪れたことがあるそうで、車で、遠くのスタジオに連れていってくれたり、夕食時には市内のレストランに案内してくれました。
 
 そのひとつが、「ユア・チョイス(Your Choice)」という名前のタイ料理店です。ここのトムヤムクンはうまかった。それ以上に感嘆したのが、パイナップル・ライスでした。ネットのサイトで調べると、日本にいるタイ人たちの作るパイナップルライスは、パイナップルを縦に割って、果肉をくりぬいたところにごはんを載せています。ところが、アメリカで食べたそれは。1個まるごとにごはんが詰まっているものでした。葉っぱのついた上部で水平に切って、果肉を繰り出し、切り取った方を蓋にしてテーブルに出てきました。1個をスズキさん(成人男性)と分けて食べましたが、あまりの量の多さに、3分の1くらいは残したような気がします。トムヤムクンも1人前頼んで二人で分けました。
 
 鶏肉とキノコと、その他もろもろ入ったまぜごはん。味付けはおそらくニョックマムで付けたような、醤油風。パイナップルの果肉も、一口大に切って入っています。温かくて甘いその実が、ごはんによく合っているのが旨さの秘密のようでした。今まで食べたごはんのなかで、3番以内には確実に入るうまさでした。まだあるだろうか、ユア・チョイス。


ナイフとフォーク        ナイフとフォーク        ナイフとフォーク        ナイフとフォーク        ナイフとフォーク