日本語の難しさ
介護士の手がたりなくて、フィリピンからきた人たちに訓練をして、地方の施設で働いてもらっている、という話をラジオで聞きました。まだまだ足りなくて、インドネシアからも来てもらう話が進んでいるのだそうです。すでに、現場で働いている人ももちろんいるようです。
一番のカベは、やはり日本語だということでした。日本語学校で教わっただけの日本語では、医療的なことも必要な介護には、語彙の量が圧倒的に足りない。いま介護を必要とする老人たちの話し相手になれるためには、「満洲」や「引き揚げ」や「国民学校」などの単語の意味を知らなければならず、「うさぎ追いしかの山」の歌も歌えなければならないのだそうです。外国語として学ぶ日本語の教材に入っていないものが多いので、そこの苦労が大変だという。その上、人体の器官や臓器に関する語彙も、聞いてすぐ分かるのでなければならない。せっかく、日本人の役に立ち、少ないとはいえ定収入が確保できたのに、挫折して別の職業に変らざるをえない人も少なくないのだとか。介護の仕事を外国人にもしてもらわないといけない時代なのですから、なんとかがんばって続けていただきたいと思います。
「一本、二本、三本」とあれば、我々は苦もなく「いっぽん、にほん、さんぼん」と読みますが、覚えるほうにしてみれば、同じ「本」という文字なら「いちほん、にほん、さんほん」にしてもらいたいところでしょう。それが3種類の発音になるのですから、たしかに難しい言葉なのですね。
1から10までの数字は、介護士でなくとも、仕事をするためには最低でも使えなければなりません。 ところが、数字も2通りの読み方があって、なおかつ混ぜて読む場合もあります。次の数字を声に出して読んでみてください。
1・2・3・4・5・6・7・8・9・10
10・9・8・7・6・5・4・3・2・1
1から上がっていくときは、たいていの人は、「いち、にー、さん、しー、ごー、ろく、しち、はち、きゅー、じゅー」と読むはずです。ところが、10から下がるときは、「じゅー、きゅー、はち、なな、ろく、ごー、よん、さん、にー、いち」と、4と7が、行きと帰りとで読み方が違います(なぜ、そうなのかはうまく説明できないのだそうですが)。「よん・なな」は、「ひと(つ)、ふた(つ)、み、よ、いつ、むー、なな、やー、ここの、とー」の、和語の系列です。
「赤穂四十七士」は、(いつかも書いたことがありますが)かならず「しじゅうしちし」と読む。しかし、「四十七歳・四十七人・四十七回・四十七メートル…」などの「四十七」は「よんじゅうなな」と読む場合の方が多いのではないでしょうか。「し」と「しち」とが、音が似てまぎらわしいので、放送などでは「よん・なな」と読むようにしているそうです。数字の読み方ひとつでも、さまざまな許容があるのですから、外国語として日本語を学ぶ人々の苦労は察するに余りあります。
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