カラヤンのオペラ | パパ・パパゲーノ

カラヤンのオペラ

 前にも書いたことがありますが、プッチーニの『蝶々夫人』というオペラは、よく言えば東西文化交流のはざまに起きた悲話ですが、主人公が日本人であることで、日本人として見ていると、アメリカ人ピンカートンの身勝手と勘違いに腹が立ってくるのは避けられません。筋はそうですが、音楽として耳だけで聞いていると、その美しさに感嘆せずにいられません。「ある晴れた日に」ばかりでなく、蝶々さんの歌う数々のアリア、ことに自刃直前のそれの感動的な美しさは比べようがない。もちろん他のピンカートン、シャープレス、スズキの歌うアリアもそれぞれに聞きどころがいっぱいあります。


 以前は、テバルディの歌う「マダマ・バタフライ」一本槍でしたが、去年から、ミレッラ・フレーニの歌が素敵なのでそちらを聞くことが多くなりました。


 指揮はヘルベルト・フォン・カラヤン、ピンカートンにパヴァロッティ、スズキはクリスタ・ルートヴィッヒ、シャープレスにロバート・カーンズという豪華陣。ウィーン・フィル、1974年の録音です。レーベルはロンドン。序曲が鳴り出すと、「ウンッ」とか「オッ」という気合いを入れるような声が聞こえます。4、5回聞こえるかな。指揮者カラヤンの声だと思います。今となれば珍しい録音かもしれません。


 カラヤンという指揮者は、生前から毀誉褒貶にさらされたようですが(中川右介『カラヤンとフルトヴェングラー』幻冬舎新書に詳しい)、オペラの指揮は群を抜いていると思います。レオンティーン・プライスがタイトル・ロールを歌う『カルメン』(この盤でミカエラを歌うのがミレッラ・フレーニ)の流暢さ、さらに極めつけ、リヒヤルト・シュトラウスの『薔薇の騎士』(シュワルツコプフのマルシャリン)の自在さ、CDもDVDもたくさん残してくれたのが、遅れてオペラ・ファンになったものにとってはありがたいかぎりです。


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