三上
苗字では「みかみ」ですが、今日の話題のタイトルとしては「さんじょう」と読みます。
文章を練るのに最適の三つの場所、すなわち、馬上・枕上・厠上
馬上(ばじょう)は馬に乗っている状態。しかし、これからいくさにおもむく早駆けの馬ではありえません。ゆったりと並足で歩む馬の上で、「推す」がいいか、「敲く」がいいか、などと、昔の(中国の)詩人たちは思案したものでしょう。「推敲(すいこう)」という熟語ができたエピソードではたしか歩きながら考えていたのだったと思いますけれど。
現代では、さしずめ、車の中、ということになりそうですが、スピードが出ている車で、運転しながら文章を練るヒマはないでしょう。だいいち危ない。通勤電車の車中ならありえます。
枕上(ちんじょう)は、文字通り、「枕の上」、寝入る前の時間ですかね。あるいは、起きがけで、ベッドからまだ出たくはない、しばしの時間か。
厠上(しじょう)は、トイレタイムですね。昔の(中国の)トイレのかたちがどんなものであったか知りませんが、冬場は寒かったはずです。子どものころ、トイレには土間を10メートルくらいも歩いて行ってましたが、冬は寒くて大変でしたから。そんなところで、文章なんぞ練っていたら痔になるのがオチではないかしら。
「三上」は、欧陽脩(おうようしゅう)という詩人の文章(?)に出てくる言葉だそうです。今でも、アイデアの湧く場所として、この三つをあげる人があります。机上でできればいいのでしょうが、気分を変えるために場所も変えてみるのでしょう。
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