クルマ無用
所帯を持って子どもが生まれて、苦しくはないけれど、そう楽でもない生活を続けていたころですが、テレビで、トヨタやニッサンやホンダがしきりにコマーシャルを流していました。ヒャクマンエンとか、それ以上もするクルマを誰が買うのだろう、と不思議に眺めていたものでした。あるとき、おお、「ひょっとして、俺も購買予備軍なのか」、と気がつきました。
われながらニブイことですが、望めば車を買えるほどになった時でさえ、買おうと思ったことはありません。だいいち、運転免許を持っていないし、教習所へ通う時間(の余裕)もなかったし。
運転ができないことで不自由したことはありません。よく海外へ旅行する方が、レンタ・カーを借りて移動するのがいかに快適か、を力説してくれました。その時はたしかにちょっと羨ましかった。ギリシャのペロポネソス半島なんて、車でなければ行けないよ、とおっしゃった先輩もいました。歩いて行けるじゃないか、と強がってみましたが、日にちに余裕のある旅ででもなければ無理な話です。
昔は「自家用車」という言葉には、まぶしいほどの響きがありました。金持ちの証明みたいなもんでした。今や、自分用の車を持つ人がいるんですもんね。
トヨタが赤字になった、と新聞の一面に出ていましたが、私にとっては記事自体がどこ吹く風か、というものです。今にも失業者が街に溢れるかのような書きぶりですが、そうだろうかと思うばかりです。
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