公侯伯子男
貴族の爵位は、現代では忘れられていますが、戦前までは日本にもちゃんとあったのですね。公侯伯子男(こうこうはくしだん)と呼び習わしました。この呼称は、明治になって、西洋の貴族制度にならって同じように5段階にしたようです。
昨日書いた、ロベルト・デヴェリューに、ノッテインガム公爵とエセックス伯爵が出てきました。二人は友だち同士(イタリア語で「アミーコ」と呼びかけていました)ですが、片方はイングランドの大臣で、一方はアイルランドへ派遣された軍人ですから、位に大きな違いがありました。
日本語と英語との対照はこうなります。
公爵 Duke(デューク)
侯爵 Marquess(マークウェス)
伯爵 Earl(アール)
子爵 Viscount(ヴァイカウント)
男爵 Baron(バロン)
Viscount は、「s を読まないよう発音に注意しましょう」という注が付く単語です。ところが、イタリア語では、ヴィスコンテと s を読みますね。あの有名な映画監督ルキノ・ヴィスコンティは名前からすると、子爵家の出なのでしょうね。マルキ・ド・サドというフランスの作家も、れっきとした侯爵だったようです。
ついでに言えば、伯爵の称号のみ、英語と、仏・伊語とが語形が違います。伯爵は、フランス語で Comte(コント)、イタリア語で Conte (コンテ)になる。
社会学の祖と呼ばれるオーギュスト・コントは、この綴りですが、爵位があったか否かは知りません。コントの先生であるサン・シモンは、コント・ド・サン・シモンですから、立派な伯爵です。いずれにしても、面倒なことです。
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