敷居が高い
「ランチが1万円からのイタリアンのお店なんて敷居が高くて入れない」
「どちらかと言えばうどん好きのほうで、そば屋はなんとなく敷居が高い」
「オペラにも行ってみたいけど、なんだか敷居が高そうで」
最近、こんな「敷居が高い」を目にする機会が多くなりました。「苦手、億劫、場違い、気が使えそうで面倒、敬遠したい」、などと言いたい場合に使われるようです。辞書の語釈とは明らかに違う用法です。
ほんらいは、「(借りた金をまだ返していない、頼まれた用事をまだ果たしていな、などの)不義理があってその家に行きにくい」という意味ですね。「不義理さえなければ容易にまたげる敷居が、それあるがためにまたぐことができない」ということでしょう。
「ハードルが高い」というのもあって、こちらは「乗り越えるべき障害の程度が高い」ときに使いますね。陸上競技のハードルからできたことば。困難を克服するための実力がまだ十分でなく、トライしても越えることがむずかしい場合などに使う。
「敷居が高い」は、いくぶんかは、この「ハードルが高い」と混線したことによる用法かもしれません。
今のところは誤用と言うべき、この「敷居が高い」の用法ですが、意味の拡大は止めることができないほどなので、いずれ、正用法に収まるものと見られます。
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