宮廷画家ゴヤは見た
ことしのアカデミー賞助演男優賞を受賞したハビエル・バルデム(No Country for Old Men で;日本ではまだ公開されていないのかな)とナタリー・ポートマンが主演する映画『宮廷画家ゴヤは見た』を私も見た。10月4日から日本公開が始まったようですが、映画館によっては1週間で打ち切りにしたところもあるようです。
画家ゴヤに扮したのは、ステラン・スカルスガルドというスウェーデン出身の俳優。一緒に見にいった人が、スクリーンの顔を記憶するのにおそろしく長けていて、『グッド・ウィル・ハンティング』に出ていた(数学の?)教授だと言ってました。調べたら本当にそうだった。日本では今はスカルスガルドと記されるけれど、前には、スウェーデン語ふうに「スカーシュゴード」と記したこともあるらしい。
さて、宮廷画家フランシスコ・ゴヤ(1746-1828)は何を見たのか? 原題は Goya's Ghosts(ゴヤの幽霊たち)というもの。
裕福な商人の娘イネス・ビルバトゥアが、カトリック教会の異端審問に無理やり引っ張り出される。それによって、身の毛もよだつ境遇に追い込まれ、悲惨この上ない人生を送らざるをえなくなります。ゴヤは、この少女(ナタリー・ポートマン)の肖像画を描いた。そのモデルのポーズをとっているあたりから映画は始まります。悲惨の原因を作るのが、神父ロレンゾ(ハビエル・バルデム)です。国王や、教皇(だと思いますが、スペインの教会の親玉)などは、実名で登場しているようですが、この、ロレンゾは架空の人物なのだそうです。
隣の国では「フランス革命」が起きる。その余波はすぐスペインにも及びます。さらに、ナポレオン軍が押しかけてくる。そうしているうちに、ポルトガルを占領したイギリス軍がスペインに侵攻する。権力が目まぐるしく交代します。
激動の20年くらいを、画家は(聴力を失いながらも)、しっかり見届けて記録していきます。イネスは、15年ほどを獄中で暮らさざるをえなかったのでした。獄中で娘をひとり産んでいます。その娘(アリシア)は孤児院を脱走して、春をひさぐ商売についている。こちらも、ナタリー・ポートマンが演じます。蓮っ葉な女を演じてもうまい。
監督はミロシュ・フォアマン。『カッコーの巣の上で』『アマデウス』で2度アカデミー監督賞を獲得した人ですね。ミュージカル映画『ヘアー』もこの人の作品。だからでしょうか、映画のなかの音楽の扱いが心にくいほど上手です。たしか、イネスが牢屋から開放されて街中を放浪するシーンだったと思いますが、ヘンデルのオペラ『リアルド』のアリア「私を泣かせてください(Lascia ch'io pianga)」が流れます。最後のタイトル・ロールの一番おしまいにもう一度繰り返されます。この曲は、たくさんのソプラノ、メゾ・ソプラノの歌手が好んで歌うもの。映画では、装飾音を多用した、現代風のアレンジになっていました。それにやや近いのがサラ・ブライトマンのこれです。映画を見たあとでこの曲を聴くと、哀しみが心にしみわたってくるようでした。
画家ゴヤに扮したのは、ステラン・スカルスガルドというスウェーデン出身の俳優。一緒に見にいった人が、スクリーンの顔を記憶するのにおそろしく長けていて、『グッド・ウィル・ハンティング』に出ていた(数学の?)教授だと言ってました。調べたら本当にそうだった。日本では今はスカルスガルドと記されるけれど、前には、スウェーデン語ふうに「スカーシュゴード」と記したこともあるらしい。
さて、宮廷画家フランシスコ・ゴヤ(1746-1828)は何を見たのか? 原題は Goya's Ghosts(ゴヤの幽霊たち)というもの。
裕福な商人の娘イネス・ビルバトゥアが、カトリック教会の異端審問に無理やり引っ張り出される。それによって、身の毛もよだつ境遇に追い込まれ、悲惨この上ない人生を送らざるをえなくなります。ゴヤは、この少女(ナタリー・ポートマン)の肖像画を描いた。そのモデルのポーズをとっているあたりから映画は始まります。悲惨の原因を作るのが、神父ロレンゾ(ハビエル・バルデム)です。国王や、教皇(だと思いますが、スペインの教会の親玉)などは、実名で登場しているようですが、この、ロレンゾは架空の人物なのだそうです。
隣の国では「フランス革命」が起きる。その余波はすぐスペインにも及びます。さらに、ナポレオン軍が押しかけてくる。そうしているうちに、ポルトガルを占領したイギリス軍がスペインに侵攻する。権力が目まぐるしく交代します。
激動の20年くらいを、画家は(聴力を失いながらも)、しっかり見届けて記録していきます。イネスは、15年ほどを獄中で暮らさざるをえなかったのでした。獄中で娘をひとり産んでいます。その娘(アリシア)は孤児院を脱走して、春をひさぐ商売についている。こちらも、ナタリー・ポートマンが演じます。蓮っ葉な女を演じてもうまい。
監督はミロシュ・フォアマン。『カッコーの巣の上で』『アマデウス』で2度アカデミー監督賞を獲得した人ですね。ミュージカル映画『ヘアー』もこの人の作品。だからでしょうか、映画のなかの音楽の扱いが心にくいほど上手です。たしか、イネスが牢屋から開放されて街中を放浪するシーンだったと思いますが、ヘンデルのオペラ『リアルド』のアリア「私を泣かせてください(Lascia ch'io pianga)」が流れます。最後のタイトル・ロールの一番おしまいにもう一度繰り返されます。この曲は、たくさんのソプラノ、メゾ・ソプラノの歌手が好んで歌うもの。映画では、装飾音を多用した、現代風のアレンジになっていました。それにやや近いのがサラ・ブライトマンのこれです。映画を見たあとでこの曲を聴くと、哀しみが心にしみわたってくるようでした。