トゥーランドット | パパ・パパゲーノ

トゥーランドット

 初台の新国立劇場に初めて行ってきました。『トゥーランドット』を見た。2階の右側の席ですが、歌もオーケストラもよく聞こえるし、舞台の上の人物の動きもよく見える、特等席と言ってもいいくらいの場所。オペラハウスとしてよくできている、という話は何度も聞いていましたが、十分納得しました。
 
 オーケストラ・ピットには新日本フィルハーモニー東京フィルハーモニー交響楽団*が陣取っていて、舞台の中央にもうひとつ小さな舞台があって、その屋根に、金管楽器の奏者が5人ほど、劇中の人物の格好をしてすわっています。宮廷の楽団といったところ。


 このオペラを舞台で見るのは初めてです。ズービン・メータが北京の紫禁城でやった、(チャン・イーモー演出の)『トゥーランドット』(小学館のオペラDVDシリーズはこの時のものか)の、メーク版の映画は見たことがあります。CDは、インゲ・ボルク、マリオ・デル・モナコとレナータ・テバルディ(リュー)のを何度か聞いていました。
 
 カラフを歌ったのは、ヴァルテル・フラッカーロ。パヴァロッティの再来かと思わせる、張りのある美声。「誰も寝てはならぬ」のアリアのうっとりすること、文句なしの適役でした。
 
 トゥーランドットには、コペンハーゲンのソプラノ、イレーネ・テオリン。ドラマチックな声、長身の金髪の美女。押し出しの立派なお姫さま。
 
 カラフの父、ダッタン王ティムールは、ライプツィヒ在住のバス、妻屋秀和。西洋人より体格がいいかと思える大柄な歌手。堂々たる歌いぶりにしびれます。
 
 日本人のオペラ歌手で世界的に活躍している人がたくさんいるのですね。この公演で、もっとも光っていたのは、リューを歌ったソプラノ、浜田理恵という歌手でした。ひそかに慕うカラフのために自殺する可憐な娘、という役どころですが、ふたつの有名なアリアの哀切さは、比べものがないくらいです。『カルメン』のミカエラも歌ったことがあるそうですが、さぞ似合っただろうと思います。声質の艶といい、情感の表現といい、素晴らしいものでした。注目のソプラノです。


*10月21日訂正。IIZUKA T さんのご教示による。Thanks!

ネコ        ネコ        ネコ        ネコ        ネコ