低音の魅力
念願かなってBOSE社から発売されている「ウェーブミュージックシステム」というものを手に入れました。AMとFMのラジオが聞けて、CDプレーヤーにもなる、ラジカセのうんと進歩したような仕掛けです。上から見ると広げた扇の紙部分のような形をしています。長い円弧(正面)がほぼ40センチ、短いほうが25センチほど、奥行き23センチ、高さが10センチ足らず、ごく小型の電蓄(古語!)です。値段が張るので、購入を決めるまで逡巡を繰り返しました。
さすがボーズ、音質の上等なことといったらありません。壁から50センチ以上離さずに設置すると「豊かな低音が得られます」というふれ込みです。スピーカーの音が壁に反響する分も計算のうちに入っているらしい。たしかに、ティンパニやコントラバスなどの低音の響きがしっかりと聞こえてきます。
昔はふすま1枚分もある大スピーカーで聞かないと低音がきれいに出なかったようです。親戚にオーディオ・マニアがいて、若いころ、その人の家で聞かせてもらったことがあります。うらやましかったものです。いまや、おそらくそのときの音質をしのぐスピーカーが、この小さな機械に備わっているのでしょう。音量を上げても音が割れるということがありません。『ドン・ジョヴァンニ』を聞きながら書いています。むろん、ドンナ・アンアのソプラノも耳に心地よく響いてきます。
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