もしもピアノが弾けたなら | パパ・パパゲーノ

もしもピアノが弾けたなら

 西田敏行が歌った「もしもピアノが弾けたなら」というラブ・ソングがありますね。これです。



 この人をテレビで初めてみたのは、おそろしく派手な衣装を着てプレスリーの物真似をした場面でした。歌は、若いころから得意だったようです。

 「だけど僕にはピアノがない 君に聞かせる腕もない」というサビの部分が胸に響きますねえ。私の小学校に1台あったピアノは、今から思えば調律もきちんとはしていなかったのでしょうが、それでも素敵な音に聞こえました。

 いつでもさわることができたので、左手で ドソミソドソミソ と繰り返し、右手でメロディー、ミードミードミソミド レソファレミード などとやって遊んでいたものでした。そのまま続けていればよかったのに、と後で悔やんだものです。

 高校生になって読んだ文章に、「パデレフスキーが弾いても、猫が鍵盤の上を歩いても、ピアノは同じ音がする」というものがありました。バーナード・ショーだったか(違うかもしれない)、毒舌で鳴る批評家が、ただ、自分はピアノの音が好きではない、ということを言うために極端な言い方をしたものでした。

 最近、聞きはじめたアンドラーシュ・シフとか、前から聞いてきた名だたるピアニストたち(バックハウス、ギーゼキング、バレンボイム、アシュケナージ、館野泉、内田光子などなど)のことを思い出しても、上の発言は見当はずれであるのははっきりしています。日本でも、おそろしく表現力の豊かな、若手のピアニストたちが続々生まれているようです。

 モーツァルトのピアノ・ソナタ第8番などを聞いていると、今からでも始めてみようかな、という気になります。