バックアップ | パパ・パパゲーノ

バックアップ

 ノーアウト、ランナー1塁で、バッターのカウントが1ストライク2ボールなどというときに、ランナーは盗塁を仕掛けることがあります。キャッチャーが2塁ベース目がけてボールを投げる、2塁手あるいは遊撃手がベースに寄って、ランナーをアウトにしようとします。
 
 ベース・カヴァーに入るのを、2塁手かショートかどちらにするか、咄嗟の判断でベースに近いほうが入ります。その場合、片方は、キャッチャーと2塁ベースとを結ぶ線上の、ベースの後ろ側に回る。これを「バックアップ」と言いました。中学校で野球チームで遊んでいたとき(対外試合もしたレッキとしたチームですが、実態は遊びの域を出なかった)、この「バックアップ」ということを教わったのだったと思います。
 
 それと似た守備陣のプレーとして、「中継」というのもあった。ふたたび、ノーアウト、ランナー1塁のケース。ライト線ギリギリの2塁打になるヒットを打たれて、ようやくライトが追いついて、ボールをサード・ベース目がけて投げる。今ではイチロー選手が、弾丸のように直接サードへ届く投球をする(ばかりでなくアウトにする)目ざましいプレーの見られるシーンですが、そんなに肩が強くない右翼手の球を、セカンドなり、ファーストなりの野手が「中継」して、サードに達するランナーをアウトにしようとします。
 
 この、「バックアップ」とか「中継」というプレーが、野球というチーム・プレーの精髄だったのだと、高校野球やオリンピックの野球やを観戦しながら感じていました。
 
 大人になって、仕事であれ、町内会の行事であれ、共同作業をしようとして、しにくい相手だなあと感じることがあって、そういうとき、この人はおそらく子どものころ野球やソフトボールをして遊んだことがないのではないか、と思ったりしたものです。
 
 「バックアップ」という言葉は、いまや、パソコンの入力データなどを消滅から救うために保存することをもっぱら指すようになりました。


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