山田耕筰 | パパ・パパゲーノ

山田耕筰

 北原白秋の詩に山田耕筰が曲をつけた作品を調べたらずいぶんたくさんあるんですね。d-score というサイトは、童謡・唱歌をしらべるのにまことに重宝します。
 
 この道:この道はいつか来た道
 からたちの花:からたちの花が咲いたよ
 あわて床屋:春ははよから川辺の葦に
 ペチカ:雪の降る夜は楽しいペチカ
 待ちぼうけ:待ちぼうけ待ちぼうけ
        ある日せっせと野良かせぎ
 砂山:海は荒海 向こうは佐渡よ(ララドミーファミドミ 

      ミラーラーラシラファレミのほう。

      中山晋平の曲のほうがポピュラーですが)
 かやの木山の:かやの木山のかやの実は
 かえろかえろと:かえろかえろとなに見てかえる
 城ヶ島の雨:雨はふるふる城ヶ島の磯に
 酸模(スカンポ)の咲くころ:土手のすかんぽジャワ更紗
 
 他にもありますが、私がすぐに歌える曲だけでもこんなにありました。よくもまあこんなにたくさん名曲が作れるもんです。ジャンルとしては童謡でしょうが、山田耕筰自身はこれらの作品を多分歌曲のつもりで作曲したのだろうと推測します。
 
 「からたちの花」など、メロディーの繰り返しが一度もないのです。「からたちの」の出だしこそ同じですが、日本語の抑揚に合わせて、一節ごとにメロディーが少しずつ変わる。しかも、クレッシェンドやディミヌエンドの表情の、じつに細かい指示もなされています。たしかに、ことばをキチンと歌うのは基本中の基本ですから、意図は分かるのですが、プロの歌手が歌うのを聞いてさえ、ときどき窮屈な感じがしてしまいます。もっとのびのび歌ってもいいはずです。
 
 歌詞を見ていて発見したのですが、「土手のスカンポ ジャワ更紗 昼は蛍がねんねする」の次、私が小学校で教わったときは、たしか「僕ら小学一年生」でしたが、白秋の原詩では「僕ら小学尋常科」だったようです。学制の変化に合わせて歌詞を変えたのでしょうね。「春の小川」も、文語の「さらさら流る」から口語の「さらさら行くよ」に変わりましたし。


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